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第9話
「……解った」
ひゅう、と口笛が鳴り、男たちはそれぞれに腰のベルトを緩め始めた。
「武士の情けで、俺が一番手を引き受けますよ。こいつらより、慣れてますからね」
屈辱を嫌と言うほど味わいながら、尊は床に手を置いた。
膝をついて、犬の姿勢をとった。
「いや、何か勘違いしてませんか?」
海斗は、そんな尊を仰向けにいざなった。
「こうしないと、顔が見えないじゃないですか」
いい表情、期待してますよ、と海斗はどこまでも食えない態度だ。
「頑張れよ、海斗!」
はやし立てる仲間に、海斗はやけに低い声で凄んだ。
「動画とか、撮るんじゃねぇぞ」
「わ、解ってるよ」
どうやら、このグループ内の頭は、この海斗という男らしい。
尊はそう分析していたが、そんなことはすぐに忘れてしまった。
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