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見学料はめちゃ高い?
第二準備室。
授業で使ういろいろな備品の中で、よく使うものは第一準備室に、年に1回くらいしか使わないものは第二準備室に保管されている。つまり第二準備室ってのは、滅多に人がこないってことだ。
「ふぁ~あ、かったりぃ……」
そんな人気の無い場所がオレのサボリの定位置だ。ほとんど人が来ないとは言え、サボるときは念には念を入れて、入り口から見えない場所に寝転んでいる。
ここは男子校で生徒会や人気のある生徒には親衛隊がいたりする。が、王道とは違うと思う。この高校に寮なんてのは存在しないし、生徒会も普通だからだ。生徒会長は俺様じゃなく勉強は出来るが普通の顔、副会長も腹黒でも美人でもなくガタイの良い熊みたいな男だ。チャラ男会計やホスト教師なんて人ももちろん存在しない。それでも腐っても男子校、男同士の恋愛はゼロでは無い。
オレはこの高校ではどこにでもいる平凡だ。身長普通、顔普通、成績普通、運動神経普通、ゲームで言えばモブキャラである。そんなオレだが、その存在感の無さで授業をサボってもあまり目立たないってのだけは強みだ。サボってもバレない、つまり先生に呼び出しされることもないからだ。
あれっ……、もしかしてそれって悲しいこと?
友達は一応いるから寂しい人間なんかじゃないぞ。たぶん。
昼休み後の今日の授業は古典だった。1日の中で一番眠い時間に眠くなる授業ってのは寝てくれって言ってるようなもんだよな。でも授業中に教室で眠ると拳骨が飛んでくるから、やっぱ寝るのはここ、第二準備室が一番だ。
「嗚呼……、あ、ん、んん……」
昼休みが終わる前にここに来て、いつもの場所で寝転んだ。今日は寒くもなく暑くもなく昼寝には丁度良い陽気で、目を閉じた瞬間から意識が沈んでいった。
「んあっ、ああいい……、もっと、もっとあああ」
良くは覚えて無いけど、何か幸せな夢を見ていたような気がする。何だろ? 目の前にごちそうがあって、それをオレはたらふく食いまくってたような……。
「あんっ、乳首気持ちいい……」
そう乳首を、……を?
まどろんでた状態から一気に覚醒した。ここはどこ? いや、第二準備室だ。そしてどうやらオレ以外にもここに人がいるらしい。しかもさっきから聞こえてるこの声ってもしや……。
恐る恐る身体を起こしていってそして途中で固まった。パカっと口を開けて目を見開いて……って、それくらいの衝撃だったってこと。まさか目の前でイタしてるとは思わないじゃん。
目の前には男がふたり。前のヤツは壁に手を付いて尻を突き出してて、後ろのヤツはちょうど今そのおっきいブツを突っ込み始めたところだった。どこにって、もちろん前のヤツの尻にだよ。オレからだとちょうど真横になってて、出し入れしてるそれが良く見える。
「嗚呼イイ、気持ちいい、もっとぉ、もっと激しいの欲し」
前のヤツが気持ち良さそうな顔で強請る。ふと見ると触られてもいないのに、ヤツのチンポはビンビンになっていた。
固まったままやっぱり動けないオレ。見ない方が良いんだけど目の前の行為に目が離せない。逃げようにもここは準備室の一番奥でどうにもできない。興奮はするが、このまま見続けるのは拷問のような時間でもあった。
初めて見る生エッチ、しかも男同士。やり方なんかは一応知識として知ってはいたものの、やはり実物は生々しい。そしてとっても内緒にしたいんだが、どうやらオレの息子も興奮してるらしい。
「ああイイ、イイよぉぉぉ、イク、イっちゃうぅぅぅ」
そしてふたりは動かなくなった、チーン。
その後は慎重にゴムを外して、前のヤツがふたり分のゴムをティッシュで包んでポケットにしまっていた。服の乱れを直しディープでエロエロなキスをして、そして何食わぬ顔でここを出ていった。オレはあいつらから見えないように身を潜めつつ最後までその様子を眺めていた。
ふたりがオレに気がつかないで良かった~……。心底そう思ったんだけど、ドアが閉まりきる直前に、後ろの、つまり攻めのヤツが振り向いてオレと目が合った。その顔はニヤリと笑ってたような気がした……。
的場……。オレでも知ってるあの顔は、この学校で一番の問題児と言われている的場だ。そいつがオレの方を見てニヤリって怖い、怖すぎる。
オレだって見たくて見たワケじゃないんだよー。そっちがオレが寝てる場所でおっぱじめたんじゃないかよ。そう文句を言いたかったが出来るワケもなく。とりあえず、最高のサボリ場所だったここへ来るのはもう止めようと思った。
その後、なんか視線を感じるなぁと思って見渡すとヤツがいるんだ。ヤツは、オレが気が付いたことが分かるとニヤリとして、そして立ち去って行った。そんなことが、この2週間で3回ほど……。そして一昨日からはオレの下駄箱にコンドームが置いてあるんだ。毎朝1コずつ。
これの意味することって何?
めちゃめちゃ怖いんですけど。
とりあえず、他人のエッチは見ちゃダメだってことだ。ものすごく高い見学料を取られそうな気がして毎日戦々恐々としている。
オ、オレは悪くないぞーっ!
「よぉっ」
放課後、トボトボと歩いていたオレに突然声がかかった。
ま、的場!
ひぃぃぃぃぃぃっ。
その後のオレの運命はご想像にお任せします。
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