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第32話

 光一は、寿の手を取って立たせた。 「じゃ、デートといくか」 「デート!?」 「今、昼時だろ。ランチして、ゲーセンで遊んで、お茶しようぜ」  友利くん、四つ葉探しの時もそうだったけど、計画を立てて実行するのが速い! 「行こうぜ、寿」 「うん、友利くん」 「光一、って呼べよ」 「え、光一!?」  覚えてねぇの? と光一は呆れた顔をした。 「一緒にイく時、お前俺のこと『光一』って呼んだだろ。 「そうだっけ……」  寿の頬が、さらに赤くなる。   光一は、その顔を覗き込んで待っている。  首をやたらと曲げてこちらを凝視している光一に、寿は笑顔になった。 「えっと、その。じゃあ、行こう、光一」 「OK」  歩き出した二人の足元には、クローバーが繁っている。  それが全て、四つ葉であるような心地を光一も寿も覚えていた。  幸せを運んでくれた、四つ葉のクローバーの花道だった。

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