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第9話 ~了~

 毛布にくるまって、まー君が寝息を立てている。  絶対に離さないと言いたげに、強い力で僕を抱き締めながら。 「ふふっ、可愛い」  思わずそう呟いてから、僕の胸に顔を埋めたまー君の頭を撫でる。するとほんの少しだけ腕の力が弱まった。  だけどまたすぐ、力が入る。 「甘えん坊さんだね?」  ……僕とまー君は、友達だった。高校からの、親友。  だけど……友情も愛情も、いつかは終わりが来る。  【永遠の愛】なんて。……そんなもの、この世界には存在しない。  だからこそ、僕は考えた。  ずっとずっと、考えていたんだ。  そして見つけた、僕の答え。  ──関係性を、変えよう。  ──この世で唯一信じられる【永遠の愛】は、母親から与えられるものだ。  ──そして子供は、母親からの愛を一身に受け止めなくちゃいけない。  だから、僕は【僕ら】を壊した。  まー君が抱く友情を壊し、男友達が持つ距離感、その他のしがらみ全部砕いて。……そうしないと、僕らはずっと一緒にいられないから。  その時、ほんの少し加減を間違えた僕はまー君の心も壊しちゃったみたいだけれど……僕は、まー君の母親になるって決めたから。  母親は、どんな子供でも愛さなくちゃいけない。  だから、どれだけだらしなく堕ちたまー君でも、僕は大好きだよ。……そんな決まり文句がなくたって、愛せるけど。  初めて、まー君を見た日。まー君は……誰もが二度見するほど、美しかった。  きっと今のまー君を見たら、誰も僕の言葉を信じないと思う。だけど、本当に美しかったんだ。 「ん……っ、まま……っ」  僕を抱き締めるまー君が、小さく身じろぐ。  親友だと笑い合ったあの日には、もう戻れない。戻らないし、戻してあげるつもりもないから。  だけど僕らは、ずっとずっと一緒だよ。  ──本当に、君は僕がいないとダメだね?  ──ずっと、そばにいるよ。 「まー君。これからも、ずっと……一緒だよ」  可愛い可愛い、僕の……僕だけの、まー君。  さぁ……明日は、なにをしようか? 愛[母性] 了

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