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第1話
「あーー…だっる、」
良い子に纏めた髪をぐしゃりと掌で崩しながら帰路につく、何時もと変わらない毎日がつまらない。
学校はつまらない、友達も上辺だけ、教師も同じ、俺の内面なんざ見ようとはしない。
両親なんて以ての外。
俺がΩだからか冷たい視線ばかり、愛情も無い。
今は独り暮らしして気楽なのはいいけど、少し寂しい。……なんて。
学費は最初は親が払ってたけど最近は俺持ち。どうやって稼いでるかはナイショ…まぁ、ここだけの話…エンジョコウサイ。
少し体を擦りよせ媚を売れば喜んで金を出してくれる良いカモ…おまけに愛情もくれる。
『愛してるよ』なんてありきたりだけど、その言葉は俺には嬉しかったんだ。
こんな俺になっちゃった経緯を懐かしいな、と考えつつも家付近の路地裏に差し掛かる、が。
「…っ、は……まじか、よ……」
唐突にがく、と力が抜け息が上がる、頬が赤く染まり疼く腹に直ぐ様バッグ内のピルケースを手に取るも空。
ついてない。
此のまま掘られて妊娠は勘弁…いやそのまま脅して慰謝料?いや慰謝料なんて…と悶々と考えていると人の気配がする。
「…あ。」
コイツはどうするんだろ、俺一応制服着てるし、手をだしたら御前犯罪者…よく見れば顔は良いn(「…よっ、と、…軽。」
考えすぎるのも困り者かもしれない、コイツは俺を抱き何やら歩き始めた。
「一目惚れってやつ、俺んとこおいで。」
は?
「神様も捨てたもんじゃねぇな、うん一目惚れ。俺と付き合って。」
は?
そう言うと俺に擦り寄り、そいつは帰路につきはじめる。
ヒートで辛い体に此れは辛い。
息を荒げて抵抗するように服を握れば
「ほら、もう俺の家だから。薬あるし飲んできな」
半場有無を言わせない圧に大人しくし、連れ去られる俺。
言葉に甘えるか、って思っただけだからな?
てかこいつ誰だよ。
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