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第128 掛け替えのない×× 6 ※

「いつもより敏感になってきているだけだ。お前はこのまま感じていろ」 緩やかに挿入を繰り返していたギガイが動きを止めて、座位でレフラの身体を上に乗せる。 「あぁ!ふあっ、あぁッ……!!」 身体を支えてくれていた為か、いつものように奥に感じる重苦しい衝撃はない。逆にジリジリとした圧迫感が、ゆっくりと奥へ強まっていく。 「だいぶ気持ちいいんだな。お前の奥が降りてきている」 またクスッと笑ったギガイが、レフラの下腹部をグイッと押した。 「ひゃぁっ、やぁ……、あぁぁぁ」 「あっ、悪かった。大丈夫か?」 ギガイとしては嬲るつもりはなかったのか、パッと手を離した。そしてまた、柔らかい手つきで腹に手を添えて、身体を緩く揺すり出す。 「……あぁ、やぁ……な、んで……なんでぇ……」 「うん、どうした?」 激しく貪られている訳でもなく、何か道具を使われている訳でもない。ただただ穏やかな挿入や愛撫が、止まることなく与えられているだけなのに、なぜか身体全体がどんどん敏感になっていく。 「きも、ちいい……やだぁ……これ、ちがぅ……なん、でぇ……」 弱いところを集中的に触られている時のような、嵐のような快感とも違っている。内壁のどこを触れられても、ビリビリと強い快感が襲ってきて、レフラは大きく首を振った。 「……こういうのも……たまには、良いだろ?」 「だ、め、だめ……ですっ、ま、すます……お、かしく、なり、そう……だか、ら……」 「そうだな、神経がだいぶ、敏感になって、いくからな」 「やあ、やあ、だめぇぇ、っ、こんなの、だめぇっ……」 「大丈夫だ、お前は、ただ、感じていろ」 「おかしく、なる、おか、しく、なっ、ちゃい……ます……っ」 全身で、ギガイを延々と感じ続けているのだから。ぐずぐずに身体は熟れている。それなのに、頭だけは沸騰しそうなぐらい熱くても、意識もクリアなままだった。 だからこそ、また1人だけ追い詰められている状況を、認識して辛くなる。 「こんな、のは、ちがい、ます、やだぁ、これはぁ、やだぁ」 レフラが鼻をグスッと啜った。 「だから、言っただろ? 私が欲しいように、求めると、辛くなると」 そんなレフラへ苦笑しながら、それでもギガイの緩やかな愛撫は止まらない。 「だっ、て、また、わたし、だけ……わた、し、だけ……が、おかしく、なる……」 ついにポロッと涙が零れる。 「あぁ、なるほど。そういう、ことか」 「ふ…ぁ…っぁ……」 ギガイがクツクツと嗤う振動さえ、今日は中へ響いてくる。 「ガツガツと、貪るだけが、方法じゃない、ってことだ」 そう言ったギガイが今度は乳首を摘まんで、緩急をつけながら優しい手つきで揉み込んでいく。日頃、痛いぐらいに弄られるそこを、柔らかく、でも焦らされることなく愛撫される。 「だ、だめ、あぁ……ぁ、きもち、いい、から、だ、めぇ……」 ますます1人だけ興奮する状態に、首をレフラが何度も振った。 「大丈夫だと言ってるだろ。お前が欲しがって良いと言ったからな、ゆっくりと長くお前と触れ合いたいだけだ」 「で、でも、でも……」 「それに、私もだいぶ、気持ちいいぞ……」 確かに、いつもよりもギガイの呼吸が荒いようだった。レフラがもう1度グスッと鼻を啜って、涙を拭うギガイの指を握りしめた。 「ほん、と、うに……?」 「あぁ、だからゆっくりと、お前を抱いて、いたいだけだ……」 その言葉は本当なのか。快感に煽られながらも、少し乱れたギガイの呼吸に期待して、レフラはギガイの顔を覗き込んだ。寝台で激しく求められる時のような熱はなくても、いつものような冷静さが崩れていれば嬉しかった。 「あぁ。お前も密玉を味わう時は、ゆっくり、舐めて、溶かすだろう。それと、同じだ」 「みつ、だま……?とか、す、の……?」 「あぁ、だから素直に溶けて、食べられていろ」 溶けていろ、と言ったギガイの蜂蜜色の瞳の方が、今にも溢れ出そうなぐらいに蕩けている。 思っていたのとは、求められ方はだいぶ違っていた。でも、覗き込んだギガイの顔には、いつもの飄々とした表情は見えなかった。 (ギガイ様が嬉しそう……) そうやって求められた結果なら、それでも良いかと思えてくる。 「は、い……っ、ぁ、たべ、て……ぁっ……」 我ながらだいぶ現金だとは思う。でも、思わずヘニャと崩れた口元から、零れた声はギガイの眼差し並に甘かった。 「……ッ! おまえ、は……これ以上は、煽るな……ッ!」 一瞬、ギガイの声が裏返ったようだった。でも確認をする前にレフラの身体を引き寄せたギガイが、レフラをギュッと抱きしめる。 いつもより力の籠もった、痛いぐらいの抱擁にレフラはえっ、と目を見開いた。 「お前より、先にイッたら、格好がつかん……」 初めて聞いた、ギガイの声音に、レフラはアハッと思わず笑った。

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