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第一章・6

 割れたガラスを、じゃりじゃりと踏みながら奥へ進む。  最奥のガラスは比較的無事で、日の当たるそこには誰が持ち込んだのやら古びた革のソファが置かれてあった。  どこから手をつけようか。  荒れてはいるが、基礎はしっかり造ってある。  再生させることができれば、生徒たちにとって素晴らしい憩いのオアシスになるに違いない。  ソファに腰掛け、ぐるり落ち着いて見渡してみるかと近寄ると、思いがけずそこにはすでに先客がいた。  大きなソファに、丸くうずくまって寝ているその姿。  衛の気配に気がつくと、その少年はもそりと首だけこちらに向けて、不機嫌そうな声を小さく吐いた。 「あんた、誰」  何かに似ている、と衛は思った。  何か、とはすぐには掴めなかったが、それはおそらく嫌なものではないはずだ。

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