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第十二章・12
丞と准は素裸で寄り添い、仰向けに寝ていた。
すいと天井に向けて伸ばした丞の手を、准が握った。
「ふふっ。何、考えてたの?」
「うん、今後のこと」
今、神様にお願いしたところ、と丞は彼にしては珍しくはにかみながら言った。
「え~、丞が神頼みだなんて。何なに? 何てお願いしたの?」
「元気な赤ちゃんを授けてください、って」
はっとした表情を見せた准だったが、すぐに笑顔になった。
「嬉しいな。もう、誰にも気兼ねなく、赤ちゃん産めるんだね」
「そうだよ。ちょっと気が早いけどね」
伸ばした腕を収めて、丞は准を抱いた。
一週間後には、仙台に出向だ。
慌ただしいが、その方が新しい門出にはいいだろう。
「准、俺はたぶん定年間近までこうやって転勤を重ねるよ。ついて来てくれるかい?」
「どこへでも、くっついて行くよ♡」
これまでが、そうだったように。
これからも、そうしよう。
「あ、でも子どもの受験なんかに重なったら、単身赴任してよね」
「しっかりしてるなぁ……」
でも今は、離れない。
もう、離さない。
二人はしっかりと抱き合い、心を一つに溶け合わせた。
生涯のパートナーとしての第一歩を、しっかりと踏み出した。
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