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第8話 【番外編】寂しい
~夕方~
「じゃあお先に失礼します。」
やっと仕事を終えた俺は早いとこ帰ろうと、急いで車に乗り込んだ。その後、高速道路を通っている間は順調だったのだが、もうすぐで高速を出るというときに渋滞が起こってしまった。この様子じゃすぐには帰れない。あんまりおそくなると陸が不安がるだろうと思って家に電話しようと思ったが、充電が切れてしまっていた。もう、陸への不安しか考えられなくなっていた。
~陸side~
なんで兄さん帰って来ないの?もう外、真っ暗なのに…。夕方に帰るからねって頭撫でてくれたのに…。もしかして、僕、捨てられた…?まさか、そんなことないよね…必ず帰るから待っててねって、言ってた…。兄さん、今どこにいるの?はやく…帰って来てよ…。
あれから3時間ほどたった現在の時刻は夜の8時。やっと家に着き、鍵を開けてなかにはいると、玄関の側の壁にもたれかかって寝ている陸がいた。体をゆすっても起きてくれる気配はない。ベットで寝かせようと体を持ち上げると、陸の目尻が赤くなっていることに気がついた。やはり1人で不安だったのだろうか。泣いていたことがわかる。
2階の寝室に寝かせると、俺は風呂に入った。腹がへって何かしら食べようとしたが、陸は食べた形跡がない。陸も食べていないのに、自分だけ食べるのも気が進まなかったのでやめた。
風呂からあがり、ベットに腰かけた。すると、後ろから服を引っ張られる感覚があった。
「悪い。起こしたか?」
すると、陸はずっと下を向いて返事をしない。
「陸?どうした?」
「…早く帰るって…言ってた…」
陸の声が震えていた。
そっと陸を抱き締めた。
「ごめんな…陸…1人で寂しかったな…怖かったよな…」
そう言った途端、陸は俺の服にしがみつき、声を殺して泣きはじめた。
「陸?泣きたいときは声をだしていいんだぞ?誰も怒ったりなんかしないから、な?」
「ううう…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「よしよし、ごめんな、もう大丈夫だぞー。俺はここにいるから…」
「ぐすっ…ひっく…1人で…怖かった……寂しかった……ずうっと、待ってたのに…!」
俺は、陸の背中を撫でることしかできなかった。
気の済むまで泣かせてあげたかった。
数分後、陸はようやく泣き止んだ。
「ほんとにごめんな、陸。」
「もう、大丈夫…」
「この仕事終わったら休みとれるからさ、そんときは一緒にいてやれるよ」
「ほ、ほんとう…?」
「ああ、ちょっと寄りたいところもあるしな。」
「え?」
「んーん、なんでもないよ。さあ、もう寝ようか。起こして悪かったな?」
「大丈夫だってば…おやすみなさい…」
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