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正体③
ケイが連れて行かれた先は大きな建物の中で、外観も内装も19世紀頃のヨーロッパに来たみたいだった。
そのまま連行されるように鉄格子のついた部屋に閉じ込められた。
「おい、どう言うことだよ!!
出せって!!
全部教えるんじゃ無かったのかよ!?」
「うるさいな。
大声出すんじゃない。
耳に響くじゃないか……」
冗談じゃない。
このままずっと閉じ込めとく気か?
「逃げられては困るからな。
まぁだが一つ教えてやる。
君が何故、稀なのかを」
「……!!」
「この世界には数多の種族のギャペラがいる。
ネズミや犬、猫……
そしてギャペラは必ず両親のどちらかの種族と同じになる。
例えば犬と猫の両親がいれば、子供は犬か猫どちらかになる。
だが、君はどうだ?」
「?」
ネズミはケイの身体を指差し続けた。
「ジャガーとライオンの特徴、両方持っているではないか」
そう、ケイの身体の違和感。
それは黒いジャガーの模様にライオンの尾を持つミックスだ。
と言うか黒豹では無くジャガーだったのかとケイは今更ながら気付いた。
「そんな混じり合った身体を持つのはほとんどいない。
ああ、だが、15年程前に一度見たことがあったな。
黒いジャガーとライオンの特徴を持つ幼子を……」
「何!?」
自分が日本で保護されたのは3歳くらいだと聞いた。
その幼子が自分だとしたら辻褄が合う。
では、この男は自分の素性を知っているのでは……?
「おや、何か思い当たる節があるのかい?
まぁいい。
これからじっくり、暴いてやればいい」
そう言ってネズミはここから立ち去った。
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