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正体⑤

ネズミのギャペラによって持って来られた食事に腹が減っていたケイは飛び付いた。 が、 「何だこれ……」 固そうなパンに何の肉か分からない塊に腹が減っていた筈なのに食欲が失せる。 しかし、食べなければ餓死だ。 「最悪…… あ~あ、寿司食いてぇ」 文句を言いつつも、食事に手をつけるがやはり不味い…… その様子をネズミはじっと見ていた。 「ところで、君に聞きたい。 これは一体なんだ?」 「ん?」 ネズミが白衣のポケットから取り出したのはケイのスマホだった。 「ああ、俺のスマホ!! 返せよ!!」 「スマホ? どう言った物だ?」 興味津々にスマホについている尋ねて来るが、ケイも教えてやるほど親切ではない。 「ここから出してくれたら教えてやるよ」 「なるほど、取り引きか…… だがな、立場を忘れるな。 お前の腕の一本や二本無くともこちらは困らない」 「………」 教えなければ痛い目をみさせると脅され、渋々答える。 「それで、世界の裏側にいても連絡を取れて、会ったことも無い相手とも繋がれたり、調べものをしたり、ゲーム出来たり、音楽聴いたり…… まぁ、色々………」 この世界に電話があるのかは知らないが、無いことを前提に説明するも、これが中々難しい…… 「えっと……だから……電波? いや、分かんねぇな…… なんて説明すりゃいいんだよ…… つうか残念ながらそれ、こっちじゃあんま使えねぇんだよ。 写真とかは見れるだろうけど、バッテリー無くなったら終わり」 「ふむ、なるほど……」 「え、今ので分かったのかよ」 「分からんな」 だろうな。 自分で説明していても分からない。

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