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第6話

     ◇ 「――血を調べてみたんだ。俺とお前の」  鈴真の家族を不幸が襲ってから四半世紀近く経った。 「遅すぎると思うかい? すまない、鈴真。ことさらお前に関しては奥手になってしまうんだ」  五年ほど前から琴也は鈴真の墓参りのために年に一度地元に帰郷していた。  鈴真が生きていたら今年で四十になっていた。  鈴真の死をきっかけに琴也の人生は暗く沈んでいった。噂が噂を呼び、男色家と罵られ始めた日々にすっかり疲弊していった琴也は家族と共に地元を離れ、田舎町でひっそりと暮らしていた。  両親が立て続けにこの世を去り、琴也は天涯孤独になった。鈴真以外誰とも関係を結ぶことなく、琴也は歳を取っていった。  寂寥感を抱き始めたのは、可笑しな話になるが、鈴真が夢に現れ始めたことがきっかけだった。  もう一度鈴真を傍に感じたい。そう考えることは自然の流れだろう。  だが鈴真との思い出を掘り下げていくうちに、知ってはならない真実まで辿り着いてしまったのだ。  ――琴也、僕は君に告白したいことがあるんだ。 「鈴真。お前の告白の意味がようやく理解できた。確かに酷い告白だ」  墓石に花を手向けると、鈴真をより近くに感じ取ることができる。  鈴真はあの時すでに真実に辿り着いていたのだろうか。  知っていてなお、禁忌を犯す悦びに浸っていたのだろうか。 「俺たちはどうしたら正しく愛し合えたんだろうなあ」  その答えを独りで探す琴也に寄り添う者は、誰もいなかった。  了

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