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それから、お互い何も言わなかった。
何も言わず、ただ冬麻は海を眺めて
俺は冬麻が死なないよう
冬麻を見つめていた。
暫くして、目を真っ赤っかにさせたお手伝いさんが来て冬麻を車に乗り込ませる。
冬麻はそれに反抗せず、無言のまま…表情一つ変えず
痛々しい火傷を少し伏せながら…
車で別荘に帰った。
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あの後、家に帰り冬麻と会わないまま夏休みが明ける。
休みが明けようとも暑さが変わってくれるわけなくて…
「…あつ」
全く捗らない作品作りのためのアトリエから出ると、眩しすぎる太陽に目を窄めながら
夏休み前、当たり前のように隣を歩くその人を胸に感じていた。
「あ、おっはよ〜!」
学校に着き、入ると能天気な奴らが俺の周りを囲む。
「結局、夏休み海来てねぇじゃねぇか!」
“海”というワードに少しドキリとしながらも、夏休み前に行っていたコイツらと遊ぶとか何とかの計画だと分かり、軽くあしらっておく。
(…冬麻は……)
何となく、想像はしていたが学校には来てないようだった。
やはり、迎えに行くべきだったか…
少しだけ後悔しつつもあんな事があった後じゃ誰にも会いたくないだろう…
今、この時はそんな事しか考えてなかった。
きっと、いつかはまた一緒に学校へ行ける。
その日まで冬麻を待ち続けよう。
もしかしたら、案外こんな馬鹿なヤツらが冬麻の心を溶かしてくれるかもしれない。
そう信じて疑わなかった。
「ちょ、ビックニュース!!!!!」
この時までは
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