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第23話

 返事はなかった。  イナスは、あとはもう何も言わずにリーンの体をひたすら愛撫した。  ナガに蹂躙された痕を、癒し続けた。  こんなところに、痣が。  こんなところにまで、歯形が。  こんなにたくさん、爪で引き裂いた痕が。  唇で、舌で、手のひらでリーンを慰めた。  静かな室内に、リーンの吐く息の音だけが響いた。  時に深く、時に甘く。  そして、徐々に荒い喘ぎに変わっていった。 「あっ」  イナスが、胸の小さな桃色の部分に舌を置いたその時、それは聞こえた。  まさか。  思わず顔を上げ、リーンの方を伺ってみると、恥ずかしげに眼を背ける姿があった。  もう一度、乳首を舐め、ついばんでみる。 「ん、あんっ」  その声には苦悶の色はなく、あるのはただ甘い悦びの響きだった。  そっと、体の中心をさすってみる。 「ああッ」

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