6 / 31

第6話

 学校から5つ目の停留所で、二人は降りた。  日曜に廉を見かけたアーケード……、から一つ外れた小道に、入った。 「こっちだよ、いい所」 「ここは……」  雑居ビルの一階にドアを構えた、小さな店。  看板には『珈琲いのうえ』とあった。 「純喫茶なんだ。今じゃ珍しいだろ?」 「確かに……」  大手チェーンのカフェが幅を利かせる業界で、地元の純喫茶として頑張っている老舗だ、と廉は説明してくれた。 「入ろう」 「う、うん」  廉の後に付いて、巽も喫茶店のドアをくぐった。

ともだちにシェアしよう!