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第6話
学校から5つ目の停留所で、二人は降りた。
日曜に廉を見かけたアーケード……、から一つ外れた小道に、入った。
「こっちだよ、いい所」
「ここは……」
雑居ビルの一階にドアを構えた、小さな店。
看板には『珈琲いのうえ』とあった。
「純喫茶なんだ。今じゃ珍しいだろ?」
「確かに……」
大手チェーンのカフェが幅を利かせる業界で、地元の純喫茶として頑張っている老舗だ、と廉は説明してくれた。
「入ろう」
「う、うん」
廉の後に付いて、巽も喫茶店のドアをくぐった。
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