10 / 31

第10話

「れ、廉のお勧めはどれ?」  それでも廉を苗字ではなく名前で呼ぶことを忘れずに、巽は愛想笑いを浮かべた。 「う~ん。巽は苦味と酸味、どっちが強いコーヒーが好き?」  苦味?  酸味?  コーヒーって、苦いだけじゃないのか!?  酸っぱいコーヒーもあるのか!?  そこへ、マスターのナイスな一声が! 「迷うなら、当店特製のブレンドを試してみて欲しいなぁ」 「じゃあ、ブレンドで!」 「ありがとうございます」 「僕は、マンデリンにする~」  了解、とマスターは手早くコーヒーを淹れる準備を始めた。

ともだちにシェアしよう!