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熊ゴリラのお嫁さん?
「ギャァァァァァァァ」
早朝、オレの部屋に悲鳴が響き渡った。誰の悲鳴かって? もちろんオレのだ。今オレはベッドに固定された状態で動けないでいる。両手がファーの付いた手錠でベッドに繋がれている状態だ。そして下半身は重しがしてあってマジで動けないんだ。
そして恐ろしいことに、この重しは言葉を発するんだ。
「あらん、京ちゃん目が覚めちゃったのねぇ♪」
「おっ、おっ、おまっ、熊? ゴリラ?」
「いやぁねぇ、熊でもゴリラでもないわよ。カレンよ、カレン」
カレンって名乗ってるけど正真正銘の男だ。しかもかなりガタイが良くて、熊のようなゴリラのような、強いて言えば熊ゴリラって命名したいくらいのヤツ。どう見ても身長も体重もオレよりある。そんなヤツがオレに乗っかって腰振ってるって何これ、新手の拷問?
「いやぁぁぁ、目が覚めたら縮んじゃったわぁぁぁ」
そう言って移動したヤツは、オレのモノを手に持って舐め始めた。はっきり言って気持ち良い。熊ゴリラのクセしてフェラ上手すぎ。
さっき熊ゴリラの中からオレのモノがズルンと抜けたとき、そこは白いぬるぬるした液にまみれてた。つまりオレは寝てる間に出したってこと?
なんか、いろんなモノを失ったような気がするんだけど気のせいだろうか?
「おいっ、ヤメッ、ヤメてくれ!」
「フゴォ~ゴ(いやぁよ)」
咥えながら言うなよ。ううっ……、やべぇよ、一瞬イキそうになったし。
昨夜オレはゲイバーへ行ったハズだ。何軒かハシゴして最後に入った店はたしか『キワモノ系』って言うのかな?、ホステス(♂)は皆女装した熊みたいなヤツばかりだった。でもメチャ盛り上がったんだよなぁ、話術とか上手くて意外と常連が多い店だったし。
でもオレ、その店を出た記憶が無いんだけど。それの意味するところって、この熊ゴリラがオレを自宅まで送ったってこと?
努めて冷静になろうとしたのに、オレの息子はガマンが出来ないヤツらしかった。ビンビンに硬くなってそして、にゅるんと熊ゴリラの中に収められた。息子よ、熊ゴリラの中は気持ち良いのか? いや、答えないで欲しい。脳内で会話してるがどっちもオレだから。
「おいっ、もうヤメてくれ」
「ダメよぉぉぉ。ワタシだってイきいたいんだからぁ」
そう言って熊ゴリラは激しく腰を振ってきた。オレより体重があるクセして負担にならないようにしてるらしく、はっきり言って目を閉じてたら最高だ。でも目を開けたらオレの上には熊ゴリラ。なんだよコレ。この状況、誰か説明して。
「あぁ~ん、いいわぁぁ♪」
「おいっ、ウッ、あっ、やべっ」
熊ゴリラのクセして、締まりも具合も良くて、結局持ってかれてしまった。何だろ、すっごく負けたような気がする。
「あはぁ~ん、京ちゃんサイコー」
「オレは最低だ」
「いやぁねぇ、素直じゃないんだから」
「それより早くオレからどけ。手錠もはずせよ」
「うふふ、そうねぇ……」
突然熊ゴリラはオレにキスしてきた。それも超濃厚なヤツでめちゃくちゃ上手い。オレは鼻で息する余裕もなく、いつの間にか意識が沈んでった。
次に目が覚めたときは部屋にはオレひとりだった。どうやら悪夢の熊ゴリラは帰ったらしい。できれば今朝のは無かったことにして忘れてしまいたいが、衝撃がすごすぎて忘れられない。当分の間うなされそうな気がするから、睡眠外来とか今のうちに探しておこうかな。
そうそう、テーブルには朝メシが置いてあった。めちゃめちゃシャクだけど旨かったので全部食ったし……。
まあでもヒドイ目にあったとは言え、悪夢のクマゴリラはオレの前から消えたんだ。てことは今夜からは平和だってことだ。人間だから生きてりゃいろんなことがあるさ。ってことで気持ちを切り替えて明日からまた頑張ろう。
のんびりとそんなことを思ってたオレに文句を言いたい。何故あの後即行で引越ししなかったんだってね。悪夢の熊ゴリラだぜ、一目散に逃げなきゃダメだろうが。なんて……もう手遅れだけど。
数日後仕事から帰宅したら熊ゴリラがウチにいた。何故?
「京ちゃん、お帰りなさ~い。お疲れ様ぁ♪」
「なっ、なっ、なんでっ?」
「いらないモノの処分とかぁ、引越しとかでちょぉ~っと時間がかかっちゃったの。遅くなってゴメンなさいねぇ」
「なっ、なに、なに、なに?」
「うふふ、今夜からは京ちゃんとずーっと一緒よ♪」
「おっ、オレは聞いてないぞーっ」
あまりの衝撃にまともな言葉を発するのに時間がかかってしまったし。そんなオレに対して熊ゴリラは一枚の紙を見せてくれた。そこにはオレの字でこうあった。
『私こと桜井京一は、カレンこと河嶋堅太郎を一生の伴侶とします』
ご丁寧に拇印まで押してあったし。って言うか、熊ゴリラは河嶋堅太郎って名前だったらしい。動物じゃなく人間だったってことに衝撃だ。
「嬉しいわぁ~。お嫁さんって夢だったのよねぇ。お店の方も皆祝福してくれてね、私は裏方の仕事に回してもらったの。だから京ちゃんが仕事から帰ったときにはちゃんとゴハン作って待ってるわねぇ。それに週末もお休みになったから、京ちゃんとイチャイチャ新婚生活を送れるのぉ♪」
目の前に腰をクネらせて話す熊ゴリラがいる。オレは、記憶に無い自分で書いたその念書に茫然自失だ。どう見てもオレの字なんだけど、何で? いくらヨッパらっても熊ゴリラを嫁にするなんて書くハズないと思うんだけど。でも実際書いてる。だから何で?
「京ちゃん、お風呂にする? ゴハンにする? それともア・タ・シ?」
スゥっと意識が遠くなりかけた。
全国のゲイの皆さん、キワモノ系のゲイバーに行ったら飲みすぎないでください。万が一飲みすぎた場合、もれなく熊ゴリラをお土産にお持ち帰りできます。もちろん拒否は出来ません。なので酔う場合は自己責任でどうぞ。
「京ちゃ~ん、お背中流しましょうか?」
「く、くるなーっ!」
「いや~ん、恥ずかしがらなくていいのよぉぉぉ♪」
誰か……、ウソだと言って(涙)
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