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新人研修は退屈だった。 一族の総領といえども修行中。 数年は身分を隠して外に出される。 だから好みの顔を見付けて、そいつを眺めて楽しんだ。 「可愛いな」 暫くして気付いた。 そいつの目が従兄弟を追っていた。 「そういうこと」 興味が増した。 「おい」 従兄弟の声に走り寄る。 柱の陰にいる。 「バレバレ」

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