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苛立ちが募った。 不本意でも、聞くしかなかった。 「何を話した?」 従兄弟は面白がっていた。 「忘れろ、とね」 あの美人ぶりをか? 「逆に頭にこびり付くぞ」 従兄弟は飄々と笑った。 嫉妬深い男への戒めのような笑いだった。 「心配するな、あの夜で終わりだよ」 従兄弟の態度は変わらなかった。 眼中にない。

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