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名前を聞いた。 暗い雰囲気に隠していた顔に驚いたからだ。 いつも下を向いていた。 息を潜めるように仕事をしていた。 顔をはっきり見たのは、この時が初めてだった。 美しいと思った。 「おまえ、名前は?」 驚きに口調がきつくなった。 「ぼ、僕は空気です」 こんな答えを返されるとは思わなかった。 笑えた。

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