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第30話

 頬は紅く染まり、汗で髪が貼りついている。  潤んだ瞳と、濡れた唇がそそる。  一真と眼を合わせたのは一瞬で、すぐ顔を背けてしまった。  大きく広げさせられた脚が恥ずかしい。  とても顔を合わせられない。 「こっち向けよ」  光は横を向いたままだ。  一真は、光の顔にかかった髪に触れた。  丁寧に髪を梳く指先に、光の心は次第に宥められていった。

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