10 / 25

第10話

 でないと、これからも同じことの繰り返しになる、と梓は訴えた。 「直人、浮かれてたろ。これで脱・童貞! とか何とか。彼女の前でもそんな事言ったんじゃ……」 「言ってない!」 「じゃあ、リプレイしてみせろよ」 「うん……」  しぶしぶながら、直人はベッドに腰掛けた。  梓は、その隣にぴたりと寄り添った。 (直人が、こんな近くに)  ヤバい、ドキドキしてきた、と梓は手に汗をかいていた。  その手を、直人がそっと握ってくる。 「す、好きだよ」 (ああ、直人。僕も好きなんだ)  じっと、二人見つめ合った。 「……ここで、キスした」 「う、うん」 (僕には、してくれないのか……)  そして、しばらくして……彼女が……。

ともだちにシェアしよう!