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千と百(SS-1)
【少しだけ】
次の日が仕事の時は滅多に家に来ないのだが、高校の同級生と飲む約束があると言っていた。
「俺んちに帰るより百川の家の方が近かったから」
帰るのが面倒だったと、百川に抱きつく。
酒とたばこのにおいがする。千坂は酔うほどは飲んでいないようだ。
「臭いです」
体を引き離すと、再び抱き着かれた。
「百川はいい匂いだなぁ」
スンスンと鼻を鳴らし匂いを嗅いでくる。
「お風呂に入ったばかりですから。ほら、千坂さんもお風呂に入って匂いをとってきてください」
いつでも泊まれるように千坂のモノが置いてある。
「はーい」
良いお返事をし、千坂が風呂へと向かう。
シャツは洗濯、スーツは衣類スチーマーをかける。
風呂からでてきた千坂は髪が濡れたままで、
「ちゃんと乾かさないとだめですよ」
とバスルームからドライヤーを持ってきた。
「やってくれるのか」
「座ってください」
百川がソファーに座り、足の間に千坂が収まるかたちで座る。
「はぁ、いいねぇ」
「いいねぇ、じゃありません。ものぐさなんだから」
文句を言いつつも、つい、世話を焼いてしまう。
だから千坂が余計に何もしなくなるのではと思いつつも、この触り心地の良さにあらがえない。
「はい、おしまいです」
もっと触っていたいが、これ以上はやめておく。
顔を覗き込めば、千坂がうとうととしていたからだ。
「さ、寝るならベッドに」
「んんっ、やば、きもちよくて寝そうになった」
「俺も、もう寝ますから」
ドライヤーを置きに行きベッドへと向かうと千坂がポンと開いているスペースを叩く。
「はい、今行きますから」
隣によこになればベッドの軋む音がして、覆いかぶさり目線を合わせてくる。
さっきまで眠そうにしていたのに。
「明日、仕事ですからダメですよ」
「少しだけ」
「そういって。少しじゃ済まないくせに」
「うん。でも、たっちまった」
とかたくなったものをすりつけてきた。
「トイレで抜いてきてください」
する気はないと体を横に向けるが、千坂にあおむけにされてしまう。
「ちょっと」
「手をかしてくれたらいい」
「嫌ですよ。オナるのに俺を巻き込まないでください」
だが、千坂が止まるはずもなく、手をつかまれてズボンに突っ込まれた。
熱くてかたいものが甲に触れる。
「そのままでいい」
そういうと、それをこすりつけた。
「千坂さん」
「はは、やっぱり物足りねぇわ」
といいながらも無理やり抱くことはしない。
「仕方がないですね。扱いてあげますよ」
「匂いも嗅ぎたい」
「どうぞ」
起き上がり向かい合わせに座ると千坂のモノを握りしめた。
肩のあたりに顔を埋め、すんすんと匂いを嗅ぎ始める。
「はぁ、いい匂いだ」
鼻が首にこすれてくすぐったい。
「ん、千坂さんも俺と同じ匂いがするでしょう?」
「でも、百川はいい匂いだ」
頬が赤く染まり、甘く息を吐く。
いつもこんな顔をして自分をオカズに自慰をしているのだろうか。
思わず喉が鳴ってしまい、それに気が付いた千坂が口角を上げた。
「百川、興奮しているのか?」
している。
恋人の、こんな姿を見てしまったら、気持ちが高ぶるものだろう。
「千坂さんがエロいからうつったんです」
「そりゃ、いい」
手が百川のモノへと触れる。
「んっ」
ふにふにとそれを確かめるように動く手に、百川の芯を甘く痺れさせる。
「一回だけ、付き合ってあげても、いいですよ?」
と首に腕を回せば、喜んでと千坂が百川へと唇を重ねた。
<了>
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