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第10話
ふいに、遥人の手がポケットからいなくなった。
「今日、お祖母ちゃんの家に寄って帰るから、ここで」
「え?」
ごめんね、と軽やかに行ってしまう遥人を、拓は見送るしかなかった。
そんなぁ。
キス……。
一度は遥人から視線を離し、歩き出した拓だったが、諦めがつかない。
「あのさ、遥人」
振り返り、すでに人ごみの中に入ろうとしている遥人に、声をかけた。
俺も一緒に、お祖母ちゃんの家に行くよ。
そう、言うつもりだった。
そこへ、突然車道から軽トラックが歩道へ突っ込んできたのだ。
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