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第20話

 こんな状況も、すぐに自分に取り入れて楽しむことのできる功。  そう。これからは、彼に素直に接しようと心に決めたのだ。  彼を愛してる。  もっと、彼が欲しい。  だったら……。  おずおずと、泉の腕が、佐野の首にかけられた。  満足そうに微笑み、ワインを一口含む黒崎。  彼と眼を合わせた後、佐野はじっくり泉とのキスを楽しみにかかった。 「っん、ふッ。ん、ぅん……」  小さな泉の声が漏れ始める。  佐野は、キスをしながら泉の耳を指先でそっと撫でた。 「ぅンッ!」  途端に、ぴくんと跳ねる泉。  ほう、と黒崎はワインのグラスを置いた。 「泉の弱点は、耳か」  佐野は耳を弄りながら、ニヤリと笑った。 「何かあったら、耳の穴に指突っ込め。すぐにおとなしくなるぞ」 「もぅッ。馬鹿ぁ!」  それでも耳を弄られると、体がどんどん熱くなる。伏せた睫毛が震え、下肢が充血してゆく。

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