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「……はー、はー。尚ちゃん、へーき?」
おそるおそる見たら、なんか、呆然としていた。
「夢が叶った……絶対無理だと思ってた……」
「何? 夢?」
「涼介とセックスして、名前呼ばれて、それで、好きって」
尚ちゃんは驚いてるけど、オレだって、尚ちゃんが自分のことそういう風に見てくれる日がくるなんて思ってなかったから、びっくりしてる。
お互い呼吸を整えたあと、尚ちゃんがちょっと笑いながら聞いてきた。
「涼介、どうする? 付き合う? って言っても、いまさらどうこう変わるわけじゃないよね」
「でも尚ちゃんと付き合いたい」
「付き合ってますって言うの?」
「それは言わない、尚ちゃんに迷惑かけちゃうから」
バカなオレとは違って、尚ちゃんには、やらなきゃいけないこととか応えなきゃいけない期待とかが、いっぱいある。
「じゃあ、誰にも内緒でこうしよっか」
こくりとうなずく。
「幼馴染みとこんなことしてるって、誰にも内緒だよ。分かった?」
「言わねーよ。もったいない。減る」
言いながら、自分でも意味分かんないと思った。
「涼介、死ぬまで一緒だからな。俺より仲良い奴とか作るなよ」
「いや……3歳から一緒の好きな人より仲良くなる人間なんて、存在するわけねーじゃん」
笑いながらツッコんだら、尚ちゃんはぱっと起き上がって、驚きの表情でオレの目をじっと見た後、なぜか軽く殴った。
「痛って、なんだよ」
「……ほんとバカだよね、涼介は。命知らずで」
「何が?」
「ヤったばっかでまたそんな風に煽るなんて。枯れるまでしたいの?」
尚ちゃんは、何でもできて、頭が良くて、喧嘩が強くて、オレの親友でもありヒーローだ。
そしていまは、誰にも内緒の恋人でもある。
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本編にはない設定で書いてみました。信じるか信じないかはあなた次第。
涼介の知能で書いたらこんな小学生の作文みたいになるかなとか、楽しく書けました。
ということで、お付き合いいただきましてありがとうございました。
本編『スクールカースト最底辺から学校一の甘々カップルになるまで』も、よろしくお願いします。
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