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第13話 囚われの花嫁と魔王の誓い
新崎は、僕の体内へとその玉を押し入れた。僕の後孔は、すでに潤っていてたいした痛みもなく、それは、僕の中へと収まっていった。新崎は、指でその石を、僕の腹の奥深くへと沈めていった。その石は、熱く、僕の内壁を焼くような異物感を与えた。まるで、内側から溶けていくかのような感覚に、僕は、息を乱して、堪えていた。
新崎は、僕の立ち上がってきた昂りへと指を這わせて、それを口で咥えて、舐め擦った。
「んっ・・あっ、あっ・・も、や・・」
僕のものは、たまらず、新崎の口中へと精を吐いた。新崎は、僕の上へと体をずらしてくると、僕の口を開かせて、僕の口の中へと僕の精を口移しで送り込んだ。彼は、僕がそれを飲み込むのを確かめるまで口を離さなかった。
新崎は、涙で目を潤ませている僕を見下ろして、満足げに微笑んだ。
「お前は、やっぱり、かわいいな、田中 真弓」
「ん・・あぁっ!」
強く、胸の突起を捻られ、僕は、体を捩った。新崎は、僕のそこを舐めあげた。
「本当に、虐めたくなる」
「ふぁっ・・やっ・・も、やめ・・」
僕は、泣きながら言った。新崎は、僕の後孔へと手を伸ばし、そこを揉みほぐしながら僕の腹へと口づけをした。
「まだまだ、泣くのは、はやいぞ、我が花嫁よ」
そう言うと新崎は、僕の両足を縛る鎖を外して、僕の足を折り曲げ、僕の後孔を覗き込んだ。
「いやっ!見ないで!」
僕が羞恥のあまり、体をくねらせて逃れようとするのを押さえつけて新崎は、僕の後孔に指を2本入れてそこを押し開いた。痛みに僕は、呻いた。新崎は、僕のそこを凝視して言った。
「石が溶けて吸収されてきたようだな」
「あっ、あぁっ・・」
新崎は、折り曲げられ押し開かれた僕の上へとのしかかり、取り出した自分自身の屹立を僕の後孔に押し当てて言った。
「そろそろ、いいかな」
「ぁあっ!・・やぁっ!・・いやぁっ!」
僕の中へと新崎のものが押し入ってくるのを感じて、僕は、体を強ばらせた。新崎は、僕の体を貫いていった。ゆっくりと僕の体の奥が新崎のものを含んでいく。そのとてつもない圧迫感に、僕は、泣き声を上げた。
「あっ・・あぁーっ!だ、めぇっ!僕、は・・」
僕は、泣きながら叫んだ。
「征一郎!」
「この期におよんで、まだ、他の男の名を呼ぶのか?我が花嫁よ」
新崎が低い声で囁いた。
「これは、お仕置きが必要だな」
「んぅっ・・あっ・・」
新崎が僕の両手を拘束している鎖を外して、僕をうつ向かせて腰を突き上げさせた。体内をぐりっと掻き回されて、僕は、思わず、新崎を締め付けて、喘いだ。
「あっ・・はぁ・・んぁっ!だめっ・・も・・」
新崎は、僕の中を激しく抽挿し始めた。抜きかけては、再び、押し開かれ、僕は、快楽の絶頂へと上り詰めていった。僕は、シーツに涙に濡れた頬を押し当てて狂い哭いた。
「あ、あぁーっ!も、だめぇっ、いくっ!いっちゃう!」
「だめだ」
新崎は、僕の中を深く突きながら言った。
「まだ、いくことは、許さん」
「ひぁっ!・・や、やぁっ!」
新崎は、僕のものの根元を強く掴んで、僕を押し止めた。なおも、突き続けられ、僕は、気楽の波にさらわれ、すべてが、音を立てて、崩れていくのを感じていた。
「あっ・・あぁっ・・も、だめぇっ・・いかせて・・」
「ちゃんとお願いできたら、許してやる」
新崎が言った。僕は、涙を流しながら哀願した。
「お願い、します・・いかせ、て・・」
「まあ、いいだろう」
新崎は、僕を強く、最奥まで貫いて、僕の中へと吐精すると、僕のものを解放した。
「あぁーっ!・・いいっ!・・あっ・・」
僕は、迸りを放ち、そして、目の前が暗くなっていった。
それから、どのぐらいの時が過ぎたのだろうか。
僕は、あの白い部屋の中で、外を見ることもなく、ただ、飼われていた。一日に三度、食事を差し入れられ、それ以外の時は、鎖でベットに繋がれていた。トイレは、訴えると、部屋の外で待機しているらしい白衣を着た研究者らしい若者が鎖を外して連れていってくれる。そして、夜が来たら、新崎が僕を訪れ、僕は、彼に抱かれた。
何度も何度も。
僕の体が征一郎のことを忘れるまで、新崎は、僕を抱き続けた。
僕は、新崎に抱かれて、何もかも忘れ、哭き狂い、乱れた。
そんな日々の繰り返しが永遠に続くように思われて、僕は、だんだんと、気力を奪われていった。
だが。
そんな、ある日のことだった。
地震のような地響きが起こり、爆音がきこえて、にわかに部屋の外が騒がしくなった。
僕は、それでも、反応することもなく、ただ、白い天井を見上げてじっと横たえていた。
ごく近いところで激しい爆発音がした。
部屋のドアが吹き飛んで、もうもうと煙が流れ込んできた。
僕は、それを別の世界のことのようにぼんやりと見つめていた。
「真弓!」
煙の中から、人影が現れる。
僕は、目を閉じた。
ああ。
そんなこと、あるわけがない。
いままで、どんなに呼ぼうとも、無駄だったのだから。
「真弓!大丈夫、か?」
声が近づいてきて、僕は、目を開いた。
そこには。
征一郎の姿があった。
「せい、いち、ろ?」
僕は、掠れた声で呟いた。征一郎は、僕の体を縛る鎖を解いて、僕を解放すると、力強く僕を抱き締めた。
「真弓!」
ああ。
僕は、懐かしい征一郎の匂いを吸い込んだ。
征一郎、だ。
あの、別れた日から、ずっと、夢に見ていた、征一郎が、今、ここにいて、僕を抱いている。
「せい、いち、ろう・・」
僕の目から涙が溢れた。僕は、征一郎の背に手を回して、彼を抱き締めると、その名を呼んだ。
「征一郎!」
「おい!久しぶりの再会で盛り上げってるとこ悪いけど、急げ!」
天音が言って、征一郎が僕から体を離した。彼は、裸の僕をシーツで包み込むと抱き上げて、走り出す。
「撤収、だ!」
征一郎は、僕を抱いたまま、瓦礫と煙の中を駆け抜けて、外を目指した。
風が吹いていた。
外の世界は、いつのまにか、秋になっていた。
僕は、少し、体を震わせた。
涙が流れる。
征一郎は、僕を抱いている手に力を込めた。
僕たちは、そこで待機していたらしい仲間と思われる見知らぬ人々の運転する車にのって、その場所から逃走した。
「寒いか?真弓」
僕は、首を振った。だけど、征一郎は、僕を暖めようとするように抱き寄せて囁いた。
「やっと、お前を取り戻すことができた」
あの日。
僕たちが新居に引っ越した直後に、あのマザの親衛隊に拐われて以来、ずっと、僕は、征一郎の名を呼び続けていた。だけど、思いは届くこともなく、日々が過ぎて、僕は、いつしか、征一郎は、もう、僕のことなんて忘れてしまったのだと思っていた。
だけど、違った。
僕を拐ったのは、世界神だった。
彼は、僕の存在の形跡をこの世界から消し去ることのできる力を持っていた。
僕のいない日常を送る征一郎たち。
思い出す筈は、なかったのだ。
なのに。
征一郎は、いつも、違和感を持っていた。
自分のとなりにいる筈の誰かがいないことに。
それは、天音や奏たちも同じだった。
最初に思い出したのは、征一郎だった。
本棚から、落ちた一冊の本。
それは、自分がもっているはずのない禁書だった。興味本意で読み出したそれに触発されて、彼は、記憶が甦っていった。
「なんで、お前のことを忘れられる」
征一郎は、言った。
「お前は、もう、すでに、私の一部だというのに」
それから、征一郎は、僕を探し始めた。
そして、探すうちに、彼は、このことにマザが関わっていることを知り、さらには、マザのバックに世界神がついていることに気づいた。
世界神の力は、強大だ。
いくら、魔王であっても手を出せずにいたとき、ある人物が彼に接触を図ってきた。
それは、『オイディプス同盟』の リーダーである人物だった。
利害が一致した彼らは、手を組み、そして、今回の研究所の襲撃に至ったのだと言う。
今、やっと、征一郎の元に戻れて、僕は、彼の胸に顔を埋めて嗚咽を漏らした。
あの、悪夢のような日々。
毎日、毎日、新崎に犯され続けた日々。
あの日々に、僕の体と心は、ずたずたに引き裂かれていった。
それでも、生きていられたのは、小さな一欠片の希望のためだった。
征一郎に。
一目、会えたなら。
だけど。
今の僕を、征一郎が受け入れてくれるのっだろうか。
この、新崎に犯され汚され尽くした今の僕を。
「征一郎・・僕、僕は・・」
「言うな」
征一郎は、泣きじゃくる僕を抱き寄せた。
「もう、大丈夫、だ。私が、お前を守る」
「征一郎・・」
「何、盛り上がってんだよ!」
助手席にいた天音が後ろへと身を乗り出して言った。
「俺たちだって、いるんだぞ!」
「天音くん・・」
僕は、泣きながら、笑っていた。
僕たちの乗った車は、街へと向かっていた。僕は、征一郎にきいた。
「どこに、行くの?」
「決まってるだろう」
征一郎が、言った。
「学園都市、だ」
僕たちは、学園都市のゲートへと向かっていた。僕は、不安を感じていた。
「ゲートを僕は、通れないよ」
ゲートを通過することは、マザを、つまり、新崎を敵に回している僕には、できないことだった。万が一、通過できても、すぐに、足取りを捕まれてしまう。
僕は、征一郎に言った。
「僕は、行けない」
「なぜ?」
「だって、僕が一緒だと、皆、捕まっちゃうよ」
「真弓」
征一郎が、僕の頭を撫でた。
「私たちを、誰だと思っている」
「真弓先生、大丈夫だよ」
天音が、振り向いて言った。
「ゲートも、学園都市も、もう、俺たちの制圧下にあるから」
「ほんとに?」
僕が、天音の言葉に驚いてきくと、彼は、笑って言った。
「例え、この世界の神がてきだろうと、俺たちにとっては、不足のない相手だ。何しろ、俺たちは、異世界の王だ。神なんて、ばんばん、戦ってきたんだからな」
「真弓、心配なのは、わかる。だが、我々を、信じて欲しい。私たちが、必ず、お前を守って見せる」
「征一郎・・」
僕は、征一郎を見上げた。天音が、割り込むように言った。
「なにしろ、先生は、俺たちの花嫁なんだからな。皆、全身全霊で、あんたを守るって誓ってるんだぜ」
「天音くん」
僕は、ふっと微笑んだ。
なぜか、微笑んだ僕を見て、天音が、頬を染めた。天音は、照れ隠しのように叫んだ。
「見えたぞ!学園都市、だ!」
「我々の戦いは、これから、始まる」
征一郎が、僕を抱く手に力を込めた。
「この世界との戦いが」
僕は、頷いて、征一郎の肩に頭を預けて、目を閉じた。
帰ってきた。
僕は、思っていた。
これから、どんなことが待っているにせよ、僕は、帰ってきた。
夢なら、覚めないで。
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