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第33話:バルトロメオ33

「僕は……あなたのものになれる?」  まぶたの上の手のひらを引き寄せ、唇まで持っていく。  ひらけた視界の先では、さっきまで強い光を放っていたバルトロメオの瞳が揺れていた。 「アンタは、天使の顔をした悪魔だな……」  それから彼の口元がほころぶ。 「人間同士ならともかく天使を(はずかし)めれば、それは確実に罪だ」  聞く耳が熱くなるような甘い声でささやきながら、バルトロメオが大きな動作で修道服を脱ぎ捨てた。 「ユァン、おいで」  汗ばんだ体が覆い被さってきて、ユァンを包み込む。同時に厚みのある胴体がユァンのひざの間に割り込んできた。 「あ……!」 「…………」 「バルト、僕……」  相手の胸の鼓動を感じ、素肌で触れ合うことが気持ちいい。  神さまが見ている、頭の隅でそう思っても、触れ合いたい衝動を止められなかった。  筋肉に覆われた肩に顔を擦りつけていると、バルトロメオはユァンの腰を強くつかむ。  それから硬いものが、脚の間に触れてきた。 「……っ!」  その瞬間が怖くなり、ユァンは彼の胸に顔を埋めた。 「そのまま目を閉じていればいい」  低くかすれた声がささやく。バルトロメオが片手でユァンの頭を抱き……。 「……あ、ああああっ!」  引き裂くような痛みが、ユァンの下半身を襲った。息を乱しながら脚の間を見ると、太い(くさび)が自分に突き刺さっている。 「見えるか?」 「ふあっ!」  バルトロメオが腰を揺すってみせた。 「もう、体は繋がってる」  呼吸と鼓動が乱れて心臓が苦しい。 「……はぁっ、バルト」 「ああ」 「僕たち、繋がってる」 「そうだな」  不安も吹き飛ばすような明るい声で、バルトロメオが笑った。  苦しい、けれど、嬉しい。こんなにも嬉しいことを、どうして神は禁じるのか。  痛みを恐れていたのに、その何倍もの喜びに満たされ、今は痛みすら快感だった。  バルトロメオの大きな猛りが、ずるずると擦り上げるようにして感じやすい入り口を行き来する。 「んっ、んっ、はぁっ、いい!」 「いいのか、ならもっと深いところで繋がってみよう」  一旦引き抜き、それからぐいぐいと奥へ侵入する。 「やあんっ! はあっ、バルト」  衝撃と異物感に背中がしなった。けど気持ちいい。この快感を手放したくない。  目尻に涙が浮かぶ中、ユァンは体の内側にすべての意識を向けようとした。 「あ、あ、あ!」 「……痛いか?」  首を左右に振って否定する。 「きもちい……っ」  甘えるように内側に擦りつけられる、亀頭の弾力をはっきりと感じた。それがずるりと移動して、別のポイントを擦り始める。 「ここ、ユァンのいいところ」 「……ふあっ、ああんっ」 「そんなにいいのか、アンタかわいいな」  いつの間にか目尻に溜まっていた涙を、バルトロメオの唇が拭った。

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