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第56話

郁side リビングのソファで寝てたら6時前にお母さんが起こしてくれた。 「春くんと電話するんでしょ?…体調、大丈夫?」 「寝不足なだけだよ。大丈夫。」 「ほんと?ならいいけど。夕食何食べたい?」 「…うどんがいいなぁ。」 「うん、じゃあそうしようか。春くんと電話終わったら食べる?」 「うん。」 「わかった」 ケータイの画面を表示させれば6時まで一分を切っていた。 自分の部屋に上がって、電話が来るのを待つ。 なかなかケータイは振動しなくて、5分経ったらこっちから電話しよう!と思った途端にケータイが震えた。 「……春!?」 「ん、郁?ごめん、遅くなって。ってどうかした?」 「…電話こなかったから、どうしたのかなって」 「課題やってて遅くなった。ほんとごめん。」 その言葉にホッとするのと同時に僕は今何してるんだろって思った。 「全然いいよ!春も忙しいもんね?」 「…郁、体調どう?」 「元気だよ。体ももうほぼ痛くないし」 「ほんとに?」 「なんで?元気だよ?」 「声のトーンが低かったから、なんとなく。あ、それとも寝てた?」 春には敵わないなぁー。 「うん、お昼寝してた。」 「そっか。起こした?眠い?」 「お母さんが春と電話するんでしょって起こしてくれたんだよ。眠気は今は大丈夫。」 「なら良かった。夜眠れなかったのか?」 「ううん。なんでか眠いだけ。」 春に嘘をつく必要はない。 けどこれ以上迷惑をかけたくなくて嘘をついた。 「ふーん。」 それから普通に春は今日あったこととかを話してくれた。 春のことを知れるのは嬉しいし、楽しい。 けど、自分だけが取り残されたような感覚になる。 なんか嫌だなぁー。 僕の記憶、早く戻ってこい!

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