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1.長いプロローグ

俺は たぶん 初めて会ったときから ソイツの事が好きだった。 中学に入学して同じクラスになった ひょろりと背の高いβ。 ものすごいイケメンというよりも、素朴で優しくて いつも元気で笑顔が可愛い。 誰からも愛される それが政実(まさみ)だった。 俺は小学6年の頃にΩだと判明してから 自分から友達を作ろうという積極性が なくなっていた。 それまでは、とりわけて明るくも暗くもない 普通の野球少年だった。 母親から、Ω性の事は言ってはダメだと教えられ 中学に入る時もそういう手続きで入学した。 手続きというのは 他の生徒にはβだと偽って学校生活をおくれるように 配慮してもらう。そんな手続きだ。 Ω性は偏見も多く、イジメの原因にもなるので それが許されていて 俺はΩと分かって以降、社会人になっても このシステムの中で活きていく事になる。 子供だった自分には選択肢はなく。 ただ母親の言葉を信じ Ωだとばれたら皆に嫌われたり、イジメられたり するんだ! そう思い込んで、必死でβのように振る舞った。 実際Ωである事をオープンにしているクラスメイトが からかわれたり、仲間はずれにされるのを 何度も見てしまった。 大きな秘密を守るために、特に気をつけた訳でもなく 友人もごく小数に、自然と押さえられていって、 どことなく、根暗な印象の自分になっていった 気がする。 でも、政実は… 初めて目があった瞬間から、なぜか 俺は絶対にコイツの親友になるんだ!と 強く思ったのを覚えている。

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