43 / 104

第40話

 引き寄せてこちらを向かせると、ちびはおろおろした瞳を向けてくる。  心なしか顔色が蒼褪めているようにも見えて、そんなに深刻に考えるようなことなのかと内心苦笑しつつも、少年の不安を払うように言葉を重ねた。 「落ち着け。俺がお前を抱くうえではどっちでもいいが、お前があの外道に無体な調教をされてなかったっつーのは朗報だと思ったんだよ」 「そ……う?」 「ちなみに、やめてほしいとかそういう話じゃねえんだろ?」  掬った手は震えている。  指先は少し冷たくて、温めるように握ってやるとちびの頬に血色が戻った。 「あの……緊張、してるだけで、」 「続き、してもいいのか?」 「…征一郎が、嫌じゃなかったら」 「なわけねえだろ。それに初めてっつったら俺も男相手は初めてだぜ。お前のお気に召すように頑張んねーとな」  軽いやり取りをしながら再びベッドへと沈めると、ちびは殊勝な一言で征一郎を煽ってくる。 「おれは…征一郎のしたいようにしてくれるのがいい…から…」  上手いじゃねえかと褒めながら、愛撫を再開した。 「あ…っ、あ、征一郎、きもちい……」  手と唇で反応を見せる場所を探りながら、征一郎は次の展開について考える。  初めてか否かにこだわりはないものの、経験がないということは、果たしてこの小さな体に征一郎のものが入るのか、突っ込んで大丈夫なのかは未知数であるということだ。 「(まあ最初っから突っ込む必要もねえか)」  入ったにしても負担が大きそうだと判断した。  ちびの様子を見るに、先日エネルギー不足で体調を崩して以来、出会ったときと同じ体調に戻ったとは思えない。  元気になるまでは負担になることは避けるのが無難だろう。  せいいちろう、と乱れた吐息で呼ばれて、胸に伏せていた顔を上げた。 「あの、…おれも……する……?」  頬を紅潮させたちびの視線は、既に勃ちあがっている征一郎のものへと向けられている。  魅力的な申し出ではあったが、征一郎は首を横に振った。 「お前は嫌だったり痛かったり辛かったりしたら我慢せずに俺に伝えること以外はしなくていいぞ」  今日は俺にさせろと主張すると、ちびは眉を下げて少し困ったような表情で微笑んだ。 「あとは気持ちよかったときもな」 「ど、努力するね……」  するりと胸から腹へと手を滑らせると、びくっと細い体が跳ねる。  大きな反応だったので、驚かせてしまったかと覗いた表情はしかしとろりととろけ、どうやら快かったのだと知れた。  その下方にあるちびの中心は征一郎と同じく既に頭を擡げ、愛撫に呼応するようにピクリと揺れる。 「…あっ!」  刺激を強くしすぎないようにソフトに握りこんだ。  その手を軽く上下させるだけで腹につくほどに反り返る。 「や、征一郎の手、あつい、だ、め、…っあ、あ、あ、っあ!」  手の中のものはすぐに弾け、白濁を吐き出した。  これを使えるかと膝の上にまだ息の整わないちびの腰を乗せて、濡れた手で後ろを探る。  驚いて身じろぎするちびの耳元に、じっとしてろと囁きを落とした。 「入れるぞ」 「あ、ゆび……っ」  厳重に閉ざされているかと思っていたそこは、意外にするりと指を受け入れた。  導かれるように、だが慎重に隘路を開いていくと、きゅっと絞られ、思わず己のものを突き入れた時のことを想像してしまいぞくりと腰が疼く。  指は受け入れたものの、しかしそこは狭い。  気持ちよくなれば自然に開かないだろうかと、先程反応が顕著だった腹を撫でると、「ふぁ」と甘い吐息が漏れて、唇の端から涎が伝ったのが見えた。 「せいいちろ……」 「ん?」  ちびは茫洋とした瞳をこちらに向け、熱に浮かされたように震える手を伸ばしてくる。 「どうした?」 「ん……ゆびじゃなくて、せいいちろうの、欲しい……」

ともだちにシェアしよう!