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第18話
「んんっ……ちょっ……哲也……さ……」
陸を玄関の横壁に押しつけて、陸の口内を激しく犯す。さっと右手を陸の服の中へと忍ばせて腹筋辺りを撫でると、キスの合間に陸が慌てて訴える。
「待って……ここ……玄関……あっ……」
そんな陸の言葉を無視して、忍ばせた右手の親指で陸の敏感なところを転がす。びくりと陸の体が反応して震えた。その反応に熱が上がった哲也はさらに愛撫を続けようとした。が、ぐっと陸の手が哲也の右手を掴んで、その動きを止めた。
唇を一旦離して至近距離で陸を見つめる。潤んだ瞳で陸が哲也を見上げた。
「シャワーさせて」
「……待てないんだけど」
「お願いだから。この服で、この体で哲也さんとヤりたくない」
その言葉ではっとなる。あの最悪野郎の服を着た陸。監禁生活だった間、陸があいつに何かされていないわけがない。それを理解した途端、哲也の中に嫉妬と怒り、そして同情の入り混じった感情が生まれる。
「……あいつに何された?」
そう聞くと、陸は途端に悲しそうな苦しそうな顔になった。
「……あいつが家にいるときは、逃げられないようにほとんど裸にさせられて……」
そこで、陸が言葉を濁した。哲也は代わりに続けた。
「……ヤられたのか?」
陸が小さく頷いた。消え入りそうな声で話を続ける。
「……色んなことをやらされた。抵抗すれば殺してやるって脅されて。優しかったのは俺の記憶が戻っていない最初だけだった。俺の記憶が戻った途端、急に豹変して。俺の素性を調べたみたいで、行くところも身内もいないの知ってたみたいだったし。病院の費用とか全部出してやったって。これからお前を養ってやる。だから言うことを聞けって言われた」
「なんで……言うとおりにしたんだよ。殺すなんて……ただの脅しだろ」
「あいつ……看護士だったから。病院でそういう薬とか簡単に手に入るって言われてたし。実際、持ってて見せられたし。俺、死ぬのは怖くなかったけど、死にたくなかった」
「……どうして」
「死んだら……哲也さんに二度と会えなくなるから。生きていれば逃げ出すチャンスも、また会える可能性だってあったから」
「陸……」
「とにかく、あいつの匂いや、気配や、そういうもの全部落としてからじゃないと、哲也さんに触れて欲しくない。こんな、汚いままの俺じゃ嫌だから」
陸がじっと哲也の目を見つめて呟くように言った。
「哲也さん……こんなになって……ごめん……」
気が付いたら。陸を思い切り抱き締めていた。
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