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 周りがドロリと濁っていた。  墨を流し込んだような、真っ暗な世界。  全てが濁り、絡み付いて引きずり込もうとする。  それは。  ………………………闇。  辺りに漂うのは、真っ黒な闇と血の臭いだけ。  違う。  嗅ぎたいのはそんな臭いじゃない。  嗅ぎたいのは。  瑠維。  瑠維の肌から立ち上る花の香りだけ…。  触れたい。  抱きしめたい。  思う存分啼かせ、甘い声を聞きたい。  花が蜜を零すように、こころゆくまで蕩かせて。  たっぷりと蜜を注ぎたい…。  瑠維。               瑠維。     瑠維。           瑠維。  瑠維…。  あ い た い … 。

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