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第3話

「俺様を誰だと思ってやがる? この澤 勇真に相談もできねえのか?」  冗談めかした口調に、幸はようやく薄く笑った。  そうそう、こうでなきゃ。  こいつは、八柳はいつも笑ってなきゃいけないキャラだ。  しかし幸は、すぐに真顔に戻ってしまった。  それでも良かった点は、勇真におずおずと話しかけて来たことだ。 「澤くんに、甘えてもいいのかな。相談に乗ってもらっても、いいのかな」 「任せろ、どんと来い」  じゃあ、昼休みに音楽準備室で、と幸は言い残し、あとはまた机に伏せてしまった。  陰々滅々とした気分は相変わらずのようだが、勇真に悩みを話せるという風穴があいたはずだ。 (まずは、これで良しとするか)  窓際へ歩く、勇真。  そんな彼を、幸は腕の隙間から見送っていた。  その姿は、ひどく頼もしく見えた。

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