5 / 34

第5話

 何だよ、それ。  そう言う勇真に、幸は一通の手紙を差し出した。 「これ、一週間前に僕の机に入ってたんだ」 「読んでもいいか?」 「いいよ」  淡いグリーンの封筒と便箋はお揃いで、品のいい雰囲気を醸している。  しかし、そこに書かれた文章は悪意に満ちていた。 『これは不幸の手紙です。これと同じ内容の手紙を一週間以内に、5人の人間に出さないと、あなたは不幸になります』 「八柳。お前、これ……」 「いいんだ。僕が不幸になれば、5人の人間が救われる」

ともだちにシェアしよう!