3 / 7

〈語り・博孝〉

『博孝、別れましょう』 椿紗にそう告げられ 僕は何故? と思い問い返した。 『椿紗……何で……』 その問いに返ってきた 答えに僕は愕然とした。 『貴方は私を誰かと 重ね合わせて 見ているようでしたから』 僕が椿紗を? ある一つの考えが 頭を過った瞬間、 僕はこの二年間 椿紗に対して なんて残酷なことを していたのだろうと思った。 『…………』 何も言えずにいると 椿紗がもう一度言った。 『別れましょう』 それだけ言うと マンションを出て行った。

ともだちにシェアしよう!