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第10話

「こちらが、ご注文いただいていたものになります」  そう言って、瑞はテーブルの上に3枚のデザインを並べた。  今日のクライアントは、イベント会社だ。  来年度の夏、開催される祭りのチラシのデザインを、瑞の部署は任されていた。 「やぁやぁ、ありがとう」  この中年の男性は、データではなく紙に落としたサンプルを喜ぶ。  モニターで見るものと、印刷したものとでは、色合いが違って見えるからだ。 「さすが高橋くんのトコは、いつもいいものを出してくれるね!」 「あ、白河です」  そうだった、と男は笑った。 「ごめんね。まだ慣れなくて」 「いいえ」  3枚の案を見比べていた男は、目を瑞に向けると身を乗り出してきた。

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