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第12話
瑞は、ここにはいない高橋を呪った。
一体全体、どんな手品を使ってこの場をしのいでいたのやら!
「できないなら、他所に頼むけど」
「お待ちください」
瑞は、真っ白になってしまった頭の中に浮かんだ人物にすがった。
武藤さん!
僕、どうすれば……!
『困ったことになったら、すぐに電話しなよ?』
別れ際にかけられた、優しい言葉を思い出した。
「申し訳ございませんが、一度社に連絡してもよろしいですか?」
「いいよ。早くしてね」
余裕しゃくしゃくの男の態度を忌々しく感じながら、瑞は退室して電話を掛けた。
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