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第26話

海は信じられないという顔をして、目を見開いた。大好きな海の綺麗な顔が、嬉しそうに微笑む。そしてその瞳から涙が一筋流れた。 「あ…すみません。今日、別れ話をされると思っていたので…ホッとして…」 慌てて涙を拭う海に、僕はギュッと抱き付いた。 「ごめん……。そんな思いさせて…ごめん」 僕がそう呟くと、海はギュッと抱き締め返して 「俺こそ…すみません。和哉さんに無理矢理…」 って呟く言葉を唇で塞ぐ。 絡めた舌が、この数ヶ月を埋めるように激しくお互いを求め合う。 ゆっくり唇を離すと 「この体勢って、初めてですね」 そう海が呟いて僕の頭を掴んで額と額をコツンと当てて見つめ合う。 僕が海に抱き着いて、海を見下ろすように重ねた唇。 いつも求めるのは海で、仕方なく身体を預けるのが僕だった。 僕は海の長い睫毛が縁取る瞳にキスを落とす。 瞳…鼻先、頬…そして唇。 「なんか変な感じですね」 小さく笑う海の制服のネクタイに手を掛ける。 すると海がその手を押さえて、不安そうに僕を見つめた。 「海……僕は、海が欲しい」  その言葉が合図となって、僕達はお互いを求め合った。 久しぶりに重ねた身体は熱くて、離れていた月日を取り戻すかのように求め合った。 「海……海……」 何度も名前を呼ぶと、僕より大きな手が握り返してくれる。 「和哉さん…」 僕の名前を囁き、口付けを交わす。 広い海の背中に爪を立てて、与えられる熱に浮かされるように精を解き放つ。 初めて海の上に跨り、下からの刺激に腰を揺らす。自分の与える動きに、海の呼吸が乱れる姿に愛しさが込み上げて来る。 腰を掴まれ、後半は無茶苦茶に下からの突き上げで意識を飛ばし掛けた。 ガックリと落ちる身体を、海の腕が抱き留める。 そっと僕の髪を撫でる海の手が、優しくて温かくて…幸せだった。 そのままの状態で横になっていると、海の心臓の音が聞こえた。 『トクン…トクン…』と脈打つ愛しい音。 愛しさが込み上げて来て、「ふふふ」って笑うと、髪を撫でていた海が不思議そうな顔をして僕を見ている。 汗で濡れた愛しい人の顔を見つめ、僕は海の胸に顔を埋めて再び笑う。 「どうしたんですか?」 と聞かれてしまった。 僕は海の胸に顔を埋めたまま 「ん?幸せだな〜って思って」 そう答えた。 その時、まだ抜いていなかった僕の中の海が急に元気になってしまう。 「あっ…ん…」 思わず出てしまった甘い声に 「それ……煽ってますよね」 と言われて、抱き締められた状態でベッドに沈められる。 「ちょ…と…待って!」 慌てて止めたけど、時既に遅し。 「安心して下さい。俺、朝までコース行けますから」 久しぶりに見た、エロオヤジ発言しながらの爽やかな笑顔に、僕は結局ほだされてしまうんだな…。

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