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第42話 ②*
「ふ……筆は……つかわないの……?」
「ん? 筆の方がいいですか?」
「……」
遠慮がちに、首を縦に振った。
貴臣の指先の熱をより意識すると、居ても立っても居られなくなる。
お前への気持ちが溢れてしまいそうになるから、それだったらまだ筆の方がマシだ。
貴臣のくすくすと笑う声が聞こえた。
「わかりましたよ。ご要望にお応えして」
「──あっ」
「そうそう。そうやって体をくねらせるところ、すごく色っぽいですよ。いい感じです。先輩もたぶん、興奮してくれるでしょう」
貴臣はいつも、俺のことを想ってくれている。
大好きな先輩の前で、俺が恥をかかないようにアドバイスもしてくれる。
どこまでも忠実で優しくて格好よくて、絶対に手に入れることの出来ない、たったひとりのおとうと。
「ふぁっ……ん……」
長いこと筆でいじめられると、モヤモヤした気持ちよりも快感が勝ってきた。
この前ジンベエザメを使った時みたいに、自ら腰を揺らしてベッドにペニスを押し付けていた。
熱いものが体の奥からかけ上ってくるような感覚だ。でもやっぱり、イくには刺激がまだ足りない。
「ここ、窮屈そうですね。ズボンも脱ぎましょうか」
ベルトを外させやすいように腰を浮かせる。
チャックを下ろそうとする時に貴臣の指先が先端に触れるのを意識しただけで、顔が燃えるように熱くなった。
そのまま、触ってもいいよ。そう言いたいのをぐっと堪えた。
制服のズボンと一緒に下着もおろされ、足首から抜かれる。
下半身は靴下だけとういう変態じみた格好にされ、枕に顔を埋めた。
もっと下の方へ体を移動させた貴臣の視線は、俺の太腿あたりに注がれている気がした。
今度は足を撫でられるかも……
そう思っていたら、尻の上を筆が行き来し始めたので、逃げるように足を動かした。
「あっ……それはっ……だめっ」
「だめ? どうして?」
「とっ、とにかく……だめっ」
抗議するのに、貴臣はやめるどころか余計に尻を重点的に攻め始める。
そうだった。やるなと言われたらやる男だった。
横向きになり、体をくの字に折ってなるべく小さくするが、筆先はくっついてくる。
終いにはその狭間を割って、その奥深いところの上をこしょこしょとされた。
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