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第10話

「上手に中イキできるようになったじゃないか.....レッスンの賜物だな」  ヤツが、白濁で盛大に汚れた腹を撫で回した。はぁはぁと肩で荒い息をする俺の髪に触れ、首筋に唇を押し当てては吸い上げる。首ばかりではなく、胸元も脇腹も鎮まりつつある熱を呼び起こすように口づけられ、赤い痕が散っていく。ヤツの唇が肌に押し付けられる度にそこからまた熱が沸き上がり、煽られて俺ははしたない吐息を洩らす。自分の淫らなはしたない声を聞きながら、俺は心の中で呟いた。 ーいや、だがこれは俺の身体じゃない。こいつに犯られているのは、日本人のガキだー  俺は必死でその言葉を繰り返した。 「奥までしっかり咥えろ!」  ヤツに最奥を突き上げられ、腰を捕まれ揺すぶられて喘ぎながら、俺は切れ切れの意識を必死で拾い集めた。が、それはすぐにまた雲散霧消していって、俺はヤツの背中に縋りついて甘えた声で啜り啼いていた。 「ご褒美だ。腹の中に出してやろう。孕むほどにたっぷりな.....」  もはや一滴の精も出なくなった俺の腰をなおも激しく穿ちながら、切羽詰まった声でヤツが囁いた。 「や、やだ......中...は........あっあああぁぁ......ぁあっ!」  ヤツのモノが俺の中で一際膨らみ、腹の中に熱い滴りをぶち撒けられて、俺は射精することなく絶頂した。 「ドライでイったか.....ふふ.....いらやしいメス犬め」  ヤツは、目を見開き舌を突き出して痙攣する俺の頬を両手で挟み、口づけた。そして、精を吐きながら勢いを失わないそれを再び俺の中に深く捩じ込んだ。 「いや.......ま...だイって...るから.....あぁあぁぁ!」 「イッてるところを犯られると、気持ちいいだろう?......たっぷり可愛いがって、コレ無しにはいられない身体にしてやる!」  ヤツは再び激しく腰を使い始めた。俺はスマホに送りつけられていたあの動画を思い出した。きっと俺は今、あの画像の少年と同じ顔をしているのだろう。快感に蕩けて、だらしなく唾液を垂らして、男のモノを咥え込んで尻を振っている。淫らなメス犬そのものの顔をしているのだろう。  崩れ去った理性の奥底にヤツの悪魔の呟きが幽かに聞こえたような気がした。 ーこれでお前は私のものだ。お前はもう逃げられない。諦めろ..............ラウルー  ロシア語の冷たい響きが何故か熱を帯びていたような気がした。語尾のその一言は掠れて、俺の理性はそれを拾いきれないまま途切れた。 ヤツが知っている筈は無い。空耳だ。そう思っていた......いや思いたかったからかもしれない。  ヤツは俺が完全に意識を手放すまで弄び続け、せっかくギブスが取れて足が軽くなったというのに、三日も寝込んでしまった。 ー全くこの身体は体力が無さすぎる。ー  重怠く痛む腰を抱えて俺は深い溜め息をついた。早く元の持ち主を見つけて突き返してやりたい。.......真剣にそう思った。

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