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第23話

「さぁ、お前のいやらしい姿をよく見せてみろ」  軽く尻を叩かれ、俺はヤツに命じられるまでもなく這いつくばり、腰を上げた。後孔の異物の微細な振動と無慈悲なうねりが止まった。俺は肩で大きく息をつき、止まりかけていた呼吸をようやく取り戻した。その直後、俺の背を稲妻のような衝撃が駆け登り、俺は思わず身を仰け反らせた。堪えきれない叫びが喉をつき、薄闇を震わせた。 「ひ、ひぃっ......」  ヤツが後孔の異物を半ばまで勢い良く引き抜いたのだ。唐突に内側から胎内が押し開かれ、すぼまり、また押し開かれ、前立腺を容赦なく擦りたてた。  俺は両目を見開き、激しく身体を痙攣させた。 「ふふ.....もぅ中でイったのか?本当にいやらしい雌犬だ。......そんなにこれが気に入ったのか?」  ヤツは今度はゆっくりとパールを引き抜いていく。内壁を抉るツルリとした感触が先ほどよりもリアルに感じられて、なおのこと俺の羞恥を煽る。 「早く...早く抜いてくれ......」  俺は恥ずかしさと胎内の疼きに切なく身を捩り、腰をくねらせた。 「どうした、腰が揺れているぞ。そんなに気持ち良いのか?」  ヤツは俺の尻を片手で撫でまわしながらなおもゆっくりとパールを引き抜いていく。すべてが胎内から抜け出ていった時には、再び息も絶え絶えになっていた。くぱりと口を開いたそこに外気が触れ、なおさら切なく肉壁を疼かせる。 「いい眺めだ。......いやらしく充血してひくついて........女のアソコよりも淫らな尻だな」  ヤツの指が入り口の襞を摘まむように弄び、俺の腹をうち震わせた。  ヤツは俺の中に指を潜り込ませ、コリコリとしこりのようなソコを引っ掻いた。 「やっ.......ああぁっ......やめ.....あひぃっ.....」  俺は再び呼び起こされる快感に身悶え、喘いだ。瞼の裏でチカチカと火花が散り、脳髄が焼け焦げるような快感に意識が遠ざかる。 「欲しいか.....?」  ヤツの乾いた声が鼓膜を震わせ、俺の僅かに残った矜持を削り取る。 「欲しければ、いやらしく強請ってみろ、淫乱め。.......」  俺はヤツの言葉どおりに這いつくばり、ヤツの前に腰を高く尻を突きだして、指を添えて差し出した。口惜しさと情けなさと恥ずかしさが俺の胸を引き裂いた。が身体は限界だった。 ーこれは俺じゃない。俺じゃないから......だから......ー 「挿れて......挿れてください。........ご主人さま.....のモノで....俺.....の.......俺のいやらしい尻を犯して.......」  ヤツはニヤリと口許を歪めて、なおも俺を辱しめ、謗った。 「もう、お前のそこは尻ではあるまい。私のモノを、男のペニスを欲しがって淫らにヒクついて.....女のアソコよりいやらしい雌孔だ。ちゃんと言いなさい.....」  俺は唇を噛みしめ、喉の奥から言葉を絞り出した。 「俺.....の、俺のいやらしい雌孔.....を犯して.....ご主人...さま......の固くて...大きくて.....熱いものを.......咥え......込ませ....て......」  ヤツはふん....と鼻を鳴らし、ヤツの逸物を俺の内に突き入れた。俺は腹の内を押し拡げられ、抉られる感覚に大きく背中を反らせ、戦慄いた。 「挿れただけでイったのか?.....本当にいやらしい雌犬だな.....」  ヤツはさも愉しそうに喉を鳴らし、片方の手を俺の腹の下に潜り込ませ、ブジーを引き抜いた。尿道を引っ掻かれる感触に俺は再び身を震わせ、達した。溜まりすぎた精液はトロトロと先端から滴り落ち、容赦なく突き上げるヤツの律動の度に、粗相するかのようにだらしなくシーツを汚した。が、すでに俺に理性は欠片ほども残ってはいなかった。 「いい....;気持ちいい.....突いて....おく........」  俺は淫らに尻を揺すり、喘ぎ、啜り泣いて、、ヤツのモノを強請った。内奥を抉じ開け、掻き回し突き上げる剛直に蹂躙されながら、歓喜の声を上げていた。 「出して欲しいか?.....ん?.....私に種付けして欲しいのだろう.....雌犬め!」  ヤツの抽挿が一層激しくなり、掠れた声が耳許を掠めた時、俺の中で何が弾けた。 「出し......て。俺の.....なか......いっぱいに....してく.....れ」 「出すぞ........孕めっ!ラウル!」 「あっ......ああああぁっ......イクっ!イクぅっ!」  ヤツのそれが一段と容積を増し、そはして腹の中に溶岩のように熱いそれがぶちまけられ、俺は淫らな声を上げて、達した。と同時に、排尿感のようなものが突き上げ、透明な水を鈴口から噴き出していた。 「潮まで吹いたか.....ふふ、もぅ元の身体には戻れまいな、なぁラウル....」 ー元の....身体........ー  嘯くヤツの言葉に俺はふっと我れに返った。かろうじて頭をもたげ、俺を悠然と見下ろすヤツの獣の眼を見た。 「ミハイル......お前......知って....!?」  まさか.....と思いたかった。だがヤツはニンマリと満足そうな笑みを浮かべて、煙草に火を点けた。 「当然だろう、ラウル。...........私が命じたのだからな......」 ー命じた.....だと?.....ー  俺は両目を限界かと思うほど見開き、だが混乱しきって一言の言葉を発することもできなかった。ぽかんとヤツを見上げる俺に、ミハイルは優雅に煙草を燻らせて、言った。 「あぁ、ついでだから教えてやろう。首輪にはGPS など着いてはいなかった」  ヤツの眼が悪魔の輝きを覗かせ、俺を打ちのめした。 「GPS が着いているのはお前自身だよ、ラウル。心臓の裏に埋め込んである。........お前はもう何処にも逃げられない」  敗北ーという言葉が津波のように俺を飲み込んだ。ヤツは俺を後ろ手に拘束したまま、部屋を出ていった。  扉を開けた肩越しに悪魔の微笑みとロシア語の冷たい響きを残して.....。 「おやすみ、ラウル。良い夢を.....」

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