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第2話

19時頃、残業をしていたら、プルプル……とスマホが鳴った。 (誰だよ。) 着信を見ると知らない番号からだったが、とりあえず俺は電話に出た。 《もしもし?》 《もしもし、 こちら、中野警察署の高木です。》 《警察? 警察がどうして、私の携帯番号を?》 《風間風翔くんを保護しまして、彼のポケットからアナタの番号が書いた紙を見つけましたので。 今から、迎えに来て貰えませんか? 彼の親と連絡がつかないので。》 《分かりました。 今から行きます。》 《お待ちしております。》 俺は電話を切り、白衣を脱ぎ上着とカバンを持ち、中野警察署に向かった。 数十分後、中野警察署に到着した。 「すいません! 風間風翔の身元引受け人の梶村です。」 「アナタが、梶村さんですか。 高木です。 わざわざすいません。 こちらです。」 俺は高木さんに別室に案内された。 そこでは風間風翔が顔に傷を複数作り、寝ている小さな男の子を抱き、椅子に座っていた。 「あの、一体彼はなにをしたんですか?」 「喧嘩です。 といってもほぼ、一方的に殴られていたんです。」 「そうですか。」 (確か、風間風翔って喧嘩が強いって噂で中学の頃は教師を殴ったって噂もあったのに…。) 「風間くん。 私と帰りましょう? 家まで送りますから。」 そして、俺と風間風翔は警察署を出て駐車場に向かった。 さっきから風間風翔は一言も声を発さない。 「……風間くん。 その男の子は誰ですか?」 「……弟。」 「風間くんには弟が居たんですか。」 「「………………」」 俺たちは話す事がなく、無言のまま駐車場に着いた。 「はい、どうぞ。」 俺は後部座席のドアを空け、風間風翔を乗せ、運転席に乗った。 「風間くん、お家はどこですか?」 「……んで、……たんだよ……。」 「なにか言いました?」 「なんで、来たんだよ! 俺は、もう、一人でいいんだよ! 俺には居場所なんか、ないんだから!」 風間風翔は大声で叫んだ。 (また、悲しそうな……辛そうな表情してる。) 「風間くん。 弟くんが起きちゃいますよ?」 「……ッ、 悪ぃ…。」 「いえ。 ………じゃあ、俺の家に来るか?」 「はっ?」 「帰りたくないなら、俺の家に来るか。って聞いてんの?」 「……お前、帰れ。って言わねぇのかよ。」 「帰りたくない理由があるなら無理に帰れとは言わねぇよ。 さすがに、詳しい話は教師として聞かねぇとならねぇけどな。 それはあくまでも『教師』としてだ。 1人の人間としては別に話したくなちゃ、話さなくてもいいと思ってる。 どうするかはお前自身が決めろ。」 「…………」 俺は車を発進させた。 数十分後、俺の家の前に着いた。 「…………ここが、梶村、の家?」 俺の住んでるマンションはこの辺りでは有名な高層マンション。 だからか、風間風翔は弟をギュッと抱きしめたままポカンっとしている。 ?「当たり前だよ。 梶村亮輔は、有名な梶村株式会社の御曹司なんだから。」 入口の前に有名な私立高校に通っている3年の弟が居た。 「……瑛一くん。 そういうあなたは跡取り息子じゃないですか。」 「本来なら、長男の兄さんが会社を継ぐはずなのにな。」 「私なんかか会社を継ぐことは出来ませんよ。 それより、なんのようなんですか? こんな時間に。 美奈さんと修司さんが心配しますよ?」 (あれ? 一瞬だけ、梶村の表情が曇った…?) 「大丈夫だよ。 母さんと父さんには兄さんの家に泊まるって言ってあるから。 用は、課題が分からないから教えて欲しいんだよ。 兄さんの方が学校の先生より、わかりやすいし。」 「…………分かりました。 今夜は私の教え子も居ますが、文句は言わないでくださいね。」 「はーい! キミが、兄さんの教え子? 僕は梶村瑛一。 秀音高校の3年。 よろしくな?」 「…………風間風翔、高1。」 「風間くんか。 今夜はよろしく!」 「……あぁ、」 俺は入口のドアを開け、中に入った。

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