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「え!…なっ…ゆ、ゆき?」
あまりの発言に硬直する柊一郎。
ゆきは頬を膨らませじーっと柊一郎を見つめている。
「いつも、されてばっかりだから…俺もお返ししたいんです…」
ダメですか?と眉を下げるゆきに柊一郎はハムスターの幻影を見た。
だがもしゆきにしてもらったらと想像しただけでもムクムクと暴走一歩手前なのに、実際にされたらとても我慢なんて出来ないだろう。
最悪最初の一舐めで暴発してしまうかもしれない。
そんなことになったら立ち直れないし、それに手加減が出来なくなって手酷く抱いてしまうかもしれない。
「い、いや…それはまたの機会にして欲しい…今日は俺がゆきに尽くしたいんだ」
「もー!いつもそう言って誤魔化して、いっつも俺だけ気持ち良くなってるじゃないですかっ」
ぷん、と効果音が付きそうな感じで拗ねるゆき。
だがハッと表情を変えると、か〜っと赤くなった。
柊一郎はそんな妻の姿ににんまりする。
表情筋が死んでいる柊一郎の、数少ない笑顔だ。
「そうか、ゆきはいっつも気持ち良くなってるんだな。良かった良かった」
「ひぇっ!ち、ちが…っちがわないれす、けど…」
自身の発言の恥ずかしさに呂律がおかしくなるゆき。
柊一郎は可愛くて愛くるしくてどうしたものかと天井を仰ぎ見た。
「…俺もちゃんといつも気持ちいいよ。今日もここで、ちゃんとご奉仕して貰えるしな」
「ーーっ」
ゆきの柔いお腹を撫でる柊一郎に、ゆきは信じられないと言わんばかりの顔をした。
こういう所で年齢差が出る。
今のは完全におっさんだ、それも変態と頭につく。
だがそれにドン引きすることもなく、惚れた弱みがなんちゃら、ゆきはドキドキしていた。
撫でられた箇所がどうしようもないぐらい熱くなって、きゅん、とお腹の奥が疼く。
「ゆき、そのままもっとお尻上げて…」
「は、い…」
俯せの状態でお尻だけ高く上げさせる。
柊一郎がやりやすいようにとゆきも協力するが、この体勢はどうしても恥ずかしいのか枕に顔を埋めている。
柊一郎は手で温めたローションをゆきのお尻に垂らすと、たっぷりローションを纏わせた指で窄まりを撫でた。
ぴくん、とゆきの身体に力が入るのがわかる。
親指で緊張を解すようにすりすり撫でて、淵の周りをぐ、ぐ、とマッサージする。
「ひっ…んん…ッ」
ぎゅっとシーツを握り耐えるゆきの姿に良心が痛む。
ちゃんと気持ち良くさせたいと、気が焦って仕方ない。
「ゆき、力抜けるか…?」
「ひゃ、は、はい…」
柊一郎は耳元で囁くと、そのまま耳の後ろにキスをした。
ピアスも空いていないまっさらな耳たぶを啄み、そのまま唇で甘噛みする。
こうするとゆきの身体から力が抜けることを知っているのだ。
「み、み…っや…ぁ」
悶え弱々しく声を上げるゆきに、ダイレクトに感じる体臭と汗の混じった匂いに、少し落ち着いていた柊一郎の身体に一気に熱が燻った。
ああ、早く抱きたい、沢山気持ち良くさせたい、よがる姿を見たい、と求めて止まらなかった。
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