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♯1 前奏曲〝凌辱〟1

 温かな霧状のシャワーが降るバスルーム。  坂下 桜也(さかした さくや)は内股を震わせ、尿意を必死に耐えていた。 「もう無理。トイレに行かせて…」  もじもじと両足を擦り合わせ、ただひたすらに懇願する。  熱い蒸気がもうもうとこもるバスルームの鏡は、曇り止めの効果をいかんなく発揮して、桜也のあられもない姿を映し出す。    桜也は裸でバスルームに立っていた。男に後ろから挿入され、倒れないように支えらながら。  桜也のものは勃起こそしていなかったが、先端が濡れ、てらてらと光っていた。 「真雪、お願い…」  こんなに必死で懇願しているのに。  桜也の後ろにいる男…班目 真雪(まだらめ まゆき)は、耳元でふっと(わら)うだけだ。  昼間はピアノの鍵盤にふれる、白くてほっそりした指で、桜也のものをきゅっとつまむ。 「やっ…!」  桜也はびくりと体をわななかせた。  ぎゅっと固く目を閉じて耐える桜也。その耳元で、真雪はまた愉しそうに笑う。  桜也の耳の中に、真雪の熱い吐息が入りこむ。さらに劣情を煽りそうで、桜也は逃げるように首を振った。 「ま、ゆき…」  桜也の後ろにいるのは、白い悪魔だ。  まっしろな肌、さらさらと肩まで伸びた銀髪、赤い瞳。  今や一般人にも知られたピアニストであり、「銀髪のピアノ貴公子」と呼ばれ、世間の尊敬を集めている真雪。  だが桜也にとっては、自分を理不尽に辱める、同い年の幼馴染でしかなかった。

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