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♯4 練習曲〝憧憬〟24

「あん、あ…っ、や、だあ、こんなの、おれじゃ、な い…っ!」  喘ぎまじりの悲鳴をあげ、真雪から逃げようともがく桜也。目には涙がにじんでいる。  無理やりに快楽を引き出され、混乱しているのだろう。  男の性は、基本的に能動的なもの。  受動的で強過ぎる快感を恐れ、必死に抵抗しているんだ。溺れてしまえば自分じゃなくなる、と。  あともう一歩だ。  桜也を快楽の底に突き落とすべく、真雪は耳元でささやいた。 「桜也。ここでしか生きていけないカラダにしてあげる。男根を挿れられないとイケなくなるくらい、エロくて貪欲な体に調教してあげるから」 「……!」  桜也の絶望に染まった瞳を見下ろし、真雪は思う。  どれほど恨まれても、憎まれてもかまわない。  桜也の体と命を、自分のモノにできるのならば。  ブラック企業なんかに、桜也は渡さない。  こんなに美しい桜也を、あんな悪徳企業に殺させてなるものか。

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