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第10話

朝…そう、それは清々しい朝……の筈…。 僕、岡本悠希(28歳) 人生の選択を誤った事を、今、非常に後悔して朝を迎えた。 侮っていた。 十代のスポーツマンの体力を舐めていた。 何が少しだ!とんでもない! 最後までいかなかったものの…、明け方まで寝かせてもらえなかった。 全身が鉛のように重い朝、こんな風にした張本人は満足そうに寝息を立てて隣で眠っている。 気怠い身体を起こそして、抱き締めている蓮の腕を離そうとした。 するとギュッと強く抱き締められて…ギョッとする。おい…お前、嫌がる僕を押え付けて、昨夜、散々ヤッたよな? なのに、なんで尻に硬いモノが当たってるんだよ…。 恐ろしくなり、身体を硬直させていると 「ん…」 と小さなうめき声と共に、蓮が目を覚ます。 「ハル…おはよう」 爽やかな笑顔で言われても、尻に当たっている凶悪な物が落ち着かない限りは安心出来ない。 僕が緊張して固まっていると、蓮が首筋にキスを落して来る。 「ちょ…お前、止めろ!」 必死に振り向くと 「やっぱり起きてた。ハル…おはよう」 そう言って唇を重ねる。 唇を重ねながら、蓮の足が僕の足に絡んで来る。 抱き締める腕は、ゆっくりと胸元を這って刺激を与えて来る。 「止め…ろ!お前、昨夜散々…」 唇が離れてクレームを言おうとした時、お尻に蓮の硬いモノが押し当てられる。 「おい…無理だぞ。さすがに…それは無理」 必死に逃げようとすると、腰を掴まれて 「大丈夫、まだ入れないから。足…閉じてて」 太ももに蓮の硬いモノが挟まれ、ゆっくりと腰を動かす。 「蓮!お前いい加減に…」 叫んだ唇を塞がれ、腰の動きが早くなる。 「止め…ろ…ってぇ…」 下から蓮の硬いモノが僕のモノを擦り上げる。 胸元を手で摘ままれ、こねられ声が上がる。 「ハル…お願い…」 甘える声で言われて、何も言えなくなる自分が情けない。 蓮の腰の動きに刺激されるかのように、僕も頂点へと昇り詰めていった…。 ……で、結局朝から二発も相手をさせられた。 ぐったりしていると 「どうした?ハルちゃん。お疲れだね~」 って、毎日元気な常連さんの笑顔が眩しい。 「はぁ…」 深い溜息を吐くと 「で、どうなの?蓮君とは仲直りしたの?」 ふいに蓮の名前を言われてドキリとする。 「え…まぁ…」 曖昧に頷くと 「思春期の男の子は難しいからね…」 と、うんうんって頷いてる。 僕は苦笑いを返しながら、事実を知ったらひっくり返るんだろうなぁ~と思っていた。 そんな事を考えていると、お店のドアが開く。 「いらっしゃいませ」 笑顔で入口を見て俺は固まる。 昨日の美女と毎朝、うちのモーニングを食べているサラリーマンが一緒に現れたのだ。 二人は奥のテーブルに座ると 「今日は話があって来たんだ」 と、サラリーマンの男が切り出した。 「社長、取り敢えず注文しませんと…」 美女の言葉に 「あ…そうか。つい、気持が急いて…」 と、社長と呼ばれたサラリーマンが俺の顔を見て 「じゃあ、ブレンドを…」 そう呟いた。 美女は少し悩んだ顔をしてから 「私はアイスカフェラテで…」 って言うと、にっこり微笑んだ。 綺麗な笑顔に思わず見惚れていると 「ハルちゃん、オーダー終わってるよ」 なんて、常連さんに突っ込まれた。 僕は慌ててカウンターに引っ込み、ブレンドとアイスカフェラテを用意した。 「お待たせ致しました」 と、ブレンドとアイスカフェラテを出すと 「少し、話が出来ないかな?」 そう言われてしまう。 どうしようかと常連さんの顔を見ると 「あ、俺達の事は気にしなくて良いよ」 って言われて、彼等の席に座る。 なんだろ?って疑問の視線を投げると、社長と呼ばれていた男がぼんやりと僕の顔を眺めている。 すると隣の美女が「ゴホン!」っと咳払いをして 「社長!見惚れでないで、さっさと話を切り出して下さい!」 って、小声で社長と呼んでいる男性を睨む。 するとその男性は慌てた顔をして 「あ、すまない。」 と言いながら咳払いをした。

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