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4-4 登山前日

登山前日。 リビングで夕食を食べながら天気予報を見ている。 「明日は、快晴で絶好の行楽日和となるでしょう。」 テレビの向こうにいるお天気お兄さんが言う。 「明日は、絶好の行楽日和だってね。よかったね。」 咲父さんが僕に笑顔を向けた。 「天気は、安心だね!」 「それより準備はしたのか?」 夏兄が聞いてくる。 「確認しながら、ちゃんとザックに入れたよー」 「念のため、あとで俺が確認してやるよ!」 「ありがとう。」 僕は、夕ご飯を食べ終え、夏兄と二階に上がる。 夏兄も僕と同じ高校を出ていて、その時に登山をしたと聞いた。役割は、リーダーだったみたいで、夏兄らしいと思った。夏兄は、昔からリーダーシップがあって力強い人だ。その性格が羨ましかったけれど、僕には、到底真似できないと思う。 「ザック、見せてみ?」 僕は、ザックを見せた。 「うーん。愁君は、ちゃんと授業聞いていましたか?」 夏兄が、からかう。 「えっ、聞いてたよ。テストだって、合格したもん、、追試だけど、、」 「ホントか?」 「本当だよぉーー」 「一番上に非常食はないわな!」 笑っている。 「えっー」 「上は、レインコートにしとけ!」 「明日、晴れなのに?」 「山は、天気が変わりやすいんだ。」 「わかったよ、、、」 ザックの中身を入れなおす。 「あと、これは、念のために貸しといてやるよ。」 銀色のシートを渡してくれた。 「えっーと、確か、、、これ、、エマなんとかだよね。」 「エマージェンシーシートだ。結構暖かいんだぜ。」 「授業で習った気がするけど、思い出せないや。日帰りなのに、いるの?重くなるの嫌だなぁ、、」 「軽いから、入れとけ。」 夏兄は、ザックに無理矢理詰め込んだ。 「わかったよ。」 「よし、これで大丈夫だろ!!」 「ありがとう。」 「早めに風呂に入って、今日はすぐに寝ろよ。」 「わかった。ありがとね。」 「明日、気を付けて行けよ。」 「うん。」 そう言うと出て行った。 夏兄は、いつも気を遣ってくれる。たまに、いじわるを言うけど、優しいお兄ちゃんだ。僕は、すぐにお風呂に入って、明日のことをいろいろ考えていた。 みんなに迷惑かけたらどうしよう、、、 なんだか不安だなぁ、、、 マイペース、マイペースだよね、、、 お風呂を上がり、鏡を見ると、少しだけ筋肉がついた気がする。 今日はいつもより早めに眠りについた。

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