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その後 ①
はあはあと息を切らして、夕日に染まった駅からの道を走る。今日はもっと早く帰宅できるはずだったのに、動物の世話当番を代わってくれと言われて学校を出るのが遅くなってしまった。
嫌とは言えない自分の性格に時々ちっと舌打ちしたくなる。
携帯で時刻を確認すると予定していた時間を1時間半過ぎていた。工藤亜貴は焦る気持ちを抱えながら走る速度を上げた。
今夜は久しぶりに洋介とゆっくりDVDでも見ようかと約束していた日だった。高校を卒業して、幼馴染みの津田洋介は地元の教育大学へ進学し、自分は動物園の飼育係を目指すべく専門学校へと進んだ。
洋介は家庭教師のバイトを始め、大学でバスケットボールのサークルにも入り、多忙な大学生活を送っていた。
一方、亜貴も実家の花屋の手伝いや、専門学校の課題などに追われる毎日で、2人が昔のようにのんびりと時間を過ごすことが難しくなっていた。
ただの幼馴染みなら、そこまで定期的に会うことにこだわらないのかもしれないが。
2人は高校卒業直前に付き合い出した恋人同士でもあった。
亜貴にしてみれば、小さい頃からずっと好きだった洋介と両想いになれたことは本当に嬉しかったし、このままずっとうまく行けばいいと願っている。
願ってはいるが。付き合い出してまだ半年ぐらいになのにもかかわらず、もうすでに自分が2人の関係に不安になっていることに気づいていた。
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