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KISS 3
※ 主人公は2作目と同じ、鈴木の恋人です。
なんで、僕は鈴木といるのかわからなくなってきた。
クリスマス以来、特に何もなく、時々会ってバイクの後ろに乗って、それだけだ。
僕はバイト帰りの鈴木を待ち伏せした。彼は驚いていたけど、少し喜んでいることもわかる。僕はなんだかイライラしていて、わざわざ会いに来たのに黙って彼を置いて歩き出した。彼は後ろからついてくる。何も言わない。怒ればいいじゃないか、なんで何も話さないんだよ、なんとか言えよ、と。僕はイライラが頂点に達して、
「なんかドキドキとかしないんだよ。お前といたって、面白くないんだよ。」
僕は自分で何を言っているのかわからない。気持ちが、めちゃくちゃ、なんだ。黙っていた僕が言葉を発した安堵と、その言葉が非常に複雑だったことで、彼は困ったような顔をした。
彼は閉まってる店のシャッターにもたれて、着ていたツナギの後ろのポケットからハイライトの箱を出して一本取り出し、口に咥えてライターで火をつけた。一息吸い込む、いったん止まって、目は宙を見て、煙をゆっくりと口と鼻から吐き出す。
「お前、たばこ吸うのかよ。」
「あ、ごめん、時々」
彼は煙草の灰を携帯の吸い殻入れに入れて、もう一息ゆっくりと吸う。たばこを口にくわえたまま煙を口から、ゆっくりと吐き出す。
なんだ、かっこいいじゃないか、こいつ。背も高いし、無精ひげもなかなか似合うし、たばこを吸う口元セクシーだし。僕がじぃっと彼の顔を見ていたら、彼は「どうした」と言って少しかがめて僕の顔を見る。僕は急に恥ずかしくなって目を逸らした。彼は
「俺、後何回怒られたら、成長するんだろうな。」と言ってたばこの火を消した。
僕は混乱していた。僕は鈴木が好きなんだ、ものすごく好きなんだ。今更、気が付いたんだ。バカみたいに鈴木が好きで、たぶん、死ぬほど好きなんだ。そんな自分の感情についていけなくて、鈴木に文句言ってるだけなんだ。僕は顔が赤くなるのを感じた。今更どうしたらいいんだ、どんな顔して鈴木を見たらいいんだ。
突然彼は後ろから僕を、そっとそっと抱きしめた、右手は僕の頭を、左手は僕の鎖骨のあたりに。
「ごめんな、俺、努力するから。」
そのままでいいんだよ、僕はそう言いたかったけど、緊張して声が出ない。なんでそんなに甘いんだよ、なんでそんなに大事にしてくれるんだよ。
僕は彼の手を振りほどいた。彼は少し驚いたような困ったような顔をした。僕は飛び込むように彼に抱き着いた。僕は喉の奥から声を絞り出した。
「なんで、なにもしないの。」え、と彼が上ずった声を出す。
「なんで、なにもしてくれないの。」僕に接する彼の身体の体温が上がる。
僕は手を伸ばして彼の顔を引き寄せ、顔を近づける。今日は僕から、口唇を合わせる。
お願い、今日はいつもと違うキスをして。
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